研究論文
水素吸入はランニングパフォーマンスと体幹筋力を向上させる

水素吸入はランニングパフォーマンスと体幹筋力を向上させる

一言まとめ

健康な成人男女20名に対し、4%の水素ガスを1日20分、7日間吸入させたところ、プラセボ(空気)吸入と比べて、最大走行速度の向上、体幹筋力の低下抑制、IGF-1の減少、CRPとフェリチンの低下が見られた。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入は副作用なく運動パフォーマンスを向上させ、炎症マーカーを低下させる可能性がある。

研究の背景と目的

近年、一部の医療ガスがスポーツパフォーマンス向上に効果があることが示唆されている。中でも水素は、抗酸化・抗炎症作用などを通じて運動能力を高める可能性が動物実験や少数の人試験で報告されている。本研究は、健常人を対象に水素ガス吸入の運動パフォーマンスや血液マーカーへの効果を検証することを目的とした。

研究方法

健康で体力のある若年男女20名(平均22.9歳)を対象に、二重盲検クロスオーバー試験を実施。被験者を無作為に2群に分け、4%水素ガスまたはプラセボ(空気)を1日20分、7日間吸入させた。7日間のウォッシュアウト期間の後、吸入ガスを入れ替えて同様に7日間吸入させた。各介入の前後で、漸増負荷走行試験、筋力・筋持久力テスト、血液検査などを行った。

研究結果

  • 水素吸入により、プラセボ吸入と比べて最大走行速度が4.2%向上した。
  • 水素吸入により、体幹筋力の低下が抑制された。
  • 水素吸入後、IGF-1が48.2 ng/mL低下したのに対し、プラセボ吸入後は59.3 ng/mL上昇した。
  • 水素吸入により、CRPが1.0 mg/L、フェリチンが6.4 μg/L低下し、プラセボ吸入よりも低下幅が大きかった。
  • 水素吸入による重篤な有害事象は見られなかった。

Appendix(用語解説)

  • IGF-1(インスリン様成長因子1):成長ホルモンの作用を仲介するタンパク質。筋肉や骨の成長を促進。
  • CRP(C反応性タンパク):炎症のマーカーの一つ。
  • フェリチン:鉄の貯蔵タンパク質で、炎症のマーカーとしても用いられる。
  • 漸増負荷テスト:ペダルの重さを一定の割合で60秒ごとに増加させるステップ負荷方式による運動能力の評価方法

論文情報

タイトル

Short-term H2 inhalation improves running performance and torso strength in healthy adults(短期間の水素吸入は健康成人のランニングパフォーマンスと体幹筋力を向上させる)

引用元

Javorac, D., Stajer, V., Ratgeber, L., Betlehem, J., & Ostojic, S. (2019). Short-term H2 inhalation improves running performance and torso strength in healthy adults. Biology of sport36(4), 333–339. https://doi.org/10.5114/biolsport.2019.88756

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