一言まとめ
伝染性単核球症の患児60名を対象に、10日間、毎日60分の66.7%濃度の水素吸入を実施した結果、T細胞の免疫機能回復が促進され、通常治療よりも症状改善効果が高かった。
3分で読める詳細解説
結論
水素吸入は伝染性単核球症患児の免疫機能回復を顕著に促進する。
研究の背景と目的
伝染性単核球症(IM)は主にエプスタイン・バー(EB)ウイルスによる感染症であり、特に幼児で頻発し、高熱やリンパ節の腫れなどを引き起こす。現在、EBウイルスに対して有効な治療法は確立されておらず、主に対症療法が行われている。IMではTリンパ球(特にCD4+およびCD8+)のバランスが崩れ、免疫機能が乱れることが知られているため、本研究は水素吸入によるT細胞の免疫機能回復への影響を明らかにすることを目的とした。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- 伝染性単核細胞増多症(IM): EBウイルス感染によって引き起こされる疾患で、発熱、咽頭痛、リンパ節腫大、末梢血中の単核細胞増加などを特徴とする
- CD4+T細胞: ヘルパーT細胞とも呼ばれ、免疫反応を調整する役割を持つリンパ球
- CD8+T細胞: 細胞傷害性T細胞とも呼ばれ、ウイルスに感染した細胞を攻撃するリンパ球
- CD4+/CD8+比: CD4+T細胞とCD8+T細胞の比率で、正常な免疫機能の指標となる
- アシクロビル: ヘルペスウイルス科に属するウイルスに対する抗ウイルス薬
論文情報
タイトル
Effect of Hydrogen Gas Inhalation on T Lymphocyte Subsets in Infectious Mononucleosis(水素吸入が伝染性単核球症患児のTリンパ球サブセットに与える影響)
引用元
Liu, H., Song, S., Li, J., Liu, S., Yan, J., Yan, J., Li, L., Li, N., Wang, P., Yin, X., Wei, Y., & Lin, A. (2021). Effect of Hydrogen Gas Inhalation on T Lymphocyte Subsets in Infectious Mononucleosis. Advances in Clinical Medicine, 11(10), 4424–4430. https://doi.org/10.12677/acm.2021.1110648
専門家のコメント
まだコメントはありません。