一言まとめ
酸化ストレス誘導型認知障害モデルマウスおよび軽度認知障害(MCI)患者を対象に、水素水摂取の効果を検証したところ、動物モデルで記憶力の低下抑制と寿命延長、ヒトではAPOE4遺伝子を持つ患者に認知機能改善が認められた。
3分で読める詳細解説
結論
水素水は、APOE4遺伝子を持つ軽度認知障害患者の認知機能を改善する可能性がある。
研究の背景と目的
アルツハイマー病などの神経変性疾患は、高齢化社会で患者数が増加しているが、治療法は限られている。現在の治療法は副作用が多いため、副作用が少なく、安全で長期的に使用できる新しい方法が求められている。そこで、本研究では強力な抗酸化作用がある水素分子に注目し、水素水が軽度認知障害(MCI)に対して予防や改善効果があるかを動物モデルおよび臨床試験で検証した。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- 軽度認知障害(MCI):加齢に伴い記憶力や判断力などの認知機能が低下するものの、日常生活には支障がない状態。認知症の前段階とされる。
- APOE4遺伝子:アルツハイマー病のリスクを高める遺伝子型の一つ。この遺伝子を持つ人は、アルツハイマー病になる可能性が高い。
- ADAS-cog(アルツハイマー病評価尺度認知項目):記憶力、言語力、空間認識力など、認知機能全般を評価する検査。点数が高いほど認知機能が低下していることを示す。
- 酸化ストレス:活性酸素による細胞や組織の損傷状態。認知症を含む様々な病気の原因となる。
- グリア細胞(グリア):神経細胞をサポートし、脳の炎症反応などに関わる細胞。
- DAL101マウス:酸化ストレスに弱く、認知機能低下を起こしやすい遺伝子変異マウスのこと。本研究で認知症モデルとして使用された。
論文情報
タイトル
Effects of Molecular Hydrogen Assessed by an Animal Model and a Randomized Clinical Study on Mild Cognitive Impairment(軽度認知障害(MCI)に対する水素水の効果:動物モデルとランダム化比較試験による検証)
引用元
Nishimaki, K., Asada, T., Ohsawa, I., Nakajima, E., Ikejima, C., Yokota, T., Kamimura, N., & Ohta, S. (2018). Effects of Molecular Hydrogen Assessed by an Animal Model and a Randomized Clinical Study on Mild Cognitive Impairment. Current Alzheimer research, 15(5), 482–492. https://doi.org/10.2174/1567205014666171106145017
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