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研究報告

水素水はアルツハイマー病の神経障害を改善する

更新日:2026/02/11
Hydrogen-rich water ameliorates neuropathological impairments in a mouse model of Alzheimer's disease through reducing neuroinflammation and modulating intestinal microbiota(水素水はアルツハイマー病マウスモデルにおいて神経炎症の軽減と腸内細菌叢の調整によって神経病理学的障害を改善する)
アルツハイマー病(AD)マウスに7ヶ月間、水素水(>1.6 ppm)を継続投与したところ、アミロイドβやタウタンパクの異常蓄積や神経炎症が抑制され、学習・記憶機能が改善された。腸内細菌叢の多様性向上や有益菌増加も確認され、脳内エネルギー代謝の回復が示唆された。
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

水素水はADマウスの炎症と腸内環境を改善し、神経変性を緩和する可能性を示す。

研究の背景と目的

アルツハイマー病(AD)は、アミロイドβ(Aβ)の蓄積やタウタンパクの過剰リン酸化、神経炎症などが原因となり、記憶障害や認知機能低下を引き起こす進行性の神経変性疾患である。既存の抗炎症薬や抗酸化療法で十分な効果が得られていない中、水素分子による抗酸化・抗炎症効果に注目が集まっている。本研究では、より非侵襲的な手段として水素水を長期的に投与し、ADモデルマウスの病態改善に寄与するかを検証することを目的とした。

研究方法

  • 対象者(動物モデル・群分け)
    • 3×Tg-ADマウス(n=30)と野生型マウス(n=15)を使用
    • 3×Tg-ADマウスは、AD群(通常水投与、n=15)と水素水群(AD+HRW群、n=15)に分割
    • 野生型はコントロール群(n=15)とした
    • すべて3か月齢の雄マウスのみを用いた
  • 介入方法(投与条件)
    • 水素水の濃度:>1.6 ppm
    • トレーニング期間を経て、毎日10:00~14:00の時間帯で7か月間連続して水素水を摂取させた(AD群は通常水)
    • 週・月当たりの正確な摂取量は論文内に具体的な記述なし
  • 対照群の設定
    • 野生型マウス(WT群)は同条件で通常水を与えた
  • 評価方法
    • 行動実験:モリス水迷路試験(学習・記憶)、オープンフィールド試験(不安・抑うつ様行動)
    • 神経組織評価:免疫染色(Aβやミクログリアなど)、Nissl染色(神経細胞の状態)、銀染色(神経原線維変化)
    • 生化学的評価:ウエスタンブロットによる各種炎症性サイトカイン、Aβ関連タンパク(APP、BACE1など)、タウリン酸化状態、ミトコンドリア機能(ATP産生、COX IVなど)
    • 腸内細菌叢解析:糞便中16S rRNAシーケンスによる多様性評価(Chao1, Shannon指数)と主要菌属の相対量測定

研究結果

  • 主要な数値・変化量
    • モリス水迷路試験で、AD群に比べて水素水群はプラットフォーム探索時間が有意に短縮(p<0.05~p<0.01)
    • Aβ産生関連タンパク(APP、BACE1)が有意に減少(p<0.001)、Aβ沈着領域も縮小(p<0.05)
    • タウタンパクの特定部位(pS422、pS404)のリン酸化レベルが有意に低下(p<0.05)、神経原線維変化(NFT)面積も減少(p<0.05)
    • 炎症性サイトカイン(IL-6, IL-1β)低下(p<0.05~p<0.01)、抗炎症因子(Ym-1)上昇(p<0.01)
    • ミトコンドリア関連酵素(PDHE1αなど)が上昇(p<0.05)、ATP量が増加(p<0.05)
    • 腸内細菌叢では、Lachnospiraceae-NK4A136-groupやRuminococcaceae-UCG-014が増加(p<0.05)、Helicobacterが低下
  • 主要な結果に関連する考察
    • Aβの蓄積やタウタンパクの過剰リン酸化はADの中核病態であり、これらが水素水投与によって減少したことから、神経細胞の機能維持や認知機能改善をもたらしたと考えられる。
    • また抗炎症作用やミトコンドリアのエネルギー代謝改善、さらには腸内細菌叢の多様化を通じて、脳環境全体の恒常性維持をサポートした可能性がある。
  • 研究の限界
    • 若齢マウスを用いた長期投与であり、臨床的な治療効果というより予防的効果の示唆が大きい
    • 水素水の濃度や投与期間の用量反応関係は未検証
    • 作用機序の詳細な分子レベルの解明には今後の研究が必要

Appendix(用語解説)

  • アルツハイマー病(AD):アミロイドβやタウタンパクが脳に異常蓄積し、神経細胞が変性・死滅することで認知機能が低下する進行性の疾患。
  • アミロイドβ(Aβ):APPという前駆体タンパク質が酵素によって分解されて生じるペプチド。過剰蓄積すると神経細胞に毒性を及ぼす。
  • タウタンパク:神経細胞内で微小管の安定化に関わるタンパク質。過剰リン酸化によって凝集し、神経原線維変化を形成する。
  • ミトコンドリア機能:ATPの産生など細胞エネルギーを司る機能。炎症や酸化ストレスの影響を受けやすく、神経変性疾患の病態に深く関与する。
  • 腸内細菌叢(マイクロバイオータ):腸内に定住する多様な微生物群の総体。炎症や代謝、脳機能など、全身の健康状態に影響を及ぼす。
  • 3×Tg-ADマウス:人間のタウP301L、APPswe、マウスのPS1M146Vという3つの変異遺伝子を発現するアルツハイマー病モデルマウス。

論文情報

タイトル

Hydrogen-rich water ameliorates neuropathological impairments in a mouse model of Alzheimer’s disease through reducing neuroinflammation and modulating intestinal microbiota(水素水はアルツハイマー病マウスモデルにおいて神経炎症の軽減と腸内細菌叢の調整によって神経病理学的障害を改善する)

引用元

Lin, Y. T., Shi, Q. Q., Zhang, L., Yue, C. P., He, Z. J., Li, X. X., He, Q. J., Liu, Q., & Du, X. B. (2022). Hydrogen-rich water ameliorates neuropathological impairments in a mouse model of Alzheimer’s disease through reducing neuroinflammation and modulating intestinal microbiota. Neural regeneration research, 17(2), 409–417. https://doi.org/10.4103/1673-5374.317992

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認知症

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公開日:2025/03/09
最終更新日:2026/02/11
目次
  1. 3分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 専門家のコメント

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公開日:2025/03/09
最終更新日:2026/02/11
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