一言まとめ
エンドトキシン誘発性ぶどう膜炎(EIU)ラットに67%水素-33%酸素混合ガスを吸入させると、房水タンパク質の増加抑制とミクログリア活性化が抑制されるものの、臨床症状や炎症細胞浸潤の改善効果は認められなかった。
3分で読める詳細解説
結論
水素吸入はEIUラットの房水タンパク質上昇とミクログリア活性化を抑制するが、臨床症状と炎症細胞浸潤の改善効果はなかった。
研究の背景と目的
ぶどう膜炎は、眼内の炎症性疾患であり、失明の原因となる。ステロイドや免疫抑制剤が治療の中心だが、全身性の副作用を伴う。近年、酸化ストレスがぶどう膜炎の病態に関与することが示唆されている。水素分子は抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、様々な疾患モデルで有効性が報告されている。本研究では、水素吸入がEIUラットの症状を改善するかどうかを検証する。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- エンドトキシン誘発性ぶどう膜炎(EIU): 細菌の細胞壁成分であるリポ多糖(LPS)を動物に投与することで、ぶどう膜炎を誘発する実験モデル。
- 房水: 眼球前部を満たす液体。
- ミクログリア: 中枢神経系に存在する免疫担当細胞。
- リポ多糖(LPS): グラム陰性菌の細胞壁外膜を構成する主要成分で、強い炎症反応を誘導する。
- 網膜電図(ERG): 網膜の電気的活動を記録する検査法。
- イオナイズドカルシウム結合アダプター分子1(Iba1): ミクログリアやマクロファージに発現するタンパク質で、これらの細胞のマーカーとして用いられる。
- ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色: 組織学的検査に用いられる一般的な染色法。
論文情報
タイトル
Effects of Post-Treatment Hydrogen Gas Inhalation on Uveitis Induced by Endotoxin in Rats(ラットのエンドトキシン誘発性ぶどう膜炎に対する水素吸入の治療後効果)
引用元
Yan, W., Chen, T., Long, P., Zhang, Z., Liu, Q., Wang, X., An, J., & Zhang, Z. (2018). Effects of Post-Treatment Hydrogen Gas Inhalation on Uveitis Induced by Endotoxin in Rats. Medical science monitor : international medical journal of experimental and clinical research, 24, 3840–3847. https://doi.org/10.12659/MSM.907269
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