水素水が胃粘膜損傷に与える保護効果

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結論

水素水は酸化ストレスと炎症を抑制し、アスピリンによる胃粘膜損傷を軽減する可能性がある。

研究の背景と目的

アスピリンは広く使用される抗炎症薬であるが、胃粘膜損傷を引き起こす副作用が問題視されている。本研究では、水素水がアスピリンによる胃粘膜損傷を軽減する可能性を評価することを目的とした。

研究方法

• 対象動物: ラット40匹（200-250g、Sprague Dawley種）。
• グループ分け:
  • 正常対照群（生理食塩水投与）。
  • 水素水群（1日80mLの水素水を3時間ごとに交換）。
  • アスピリン群（アスピリン400mg/kgの投与）。
  • 水素水+アスピリン群（1日80mLの水素水とアスピリン）。
• 投与期間: 7日間の前処置後、アスピリン投与8時間後にサンプル採取。
• 評価項目:
  • 胃粘膜損傷スコア（0～6スケール）。
  • 酸化ストレス指標（MDA, MPO, SOD）。
  • サイトカイン濃度（IL-6, TNF-α, IL-1β）。
  • COX-2の発現（免疫組織化学分析）。

研究結果

• 胃粘膜損傷スコア:
  • アスピリン群: 平均4.04 ± 0.492。
  • 水素水+アスピリン群: 平均2.10 ± 0.437（P < 0.05で有意に減少）。
• 酸化ストレス指標:
  • MDA（nmol/mg protein）: アスピリン群2.43 ± 0.145 → 水素水+アスピリン群1.79 ± 0.116（P < 0.05）。
  • MPO（U/g tissue）: アスピリン群2.53 ± 0.238 → 水素水+アスピリン群1.40 ± 0.208（P < 0.05）。
  • SOD（nmol/mg protein）: アスピリン群37.94 ± 8.44 → 水素水+アスピリン群59.55 ± 9.02（P < 0.05で有意に増加）。
• 炎症性サイトカイン:
  • 胃組織TNF-α（pg/mg）: アスピリン群1305.08 ± 101.23 → 水素水+アスピリン群855.96 ± 93.22（P < 0.05）。
  • 血清IL-1β（pg/mL）: アスピリン群505.38 ± 32.97 → 水素水+アスピリン群343.37 ± 25.09（P < 0.05）。
  • COX-2発現スコア:
  • アスピリン群8.4 ± 2.1 → 水素水+アスピリン群2.9 ± 1.5（P < 0.05で有意に減少）。

Appendix（用語解説）

• MDA (Malondialdehyde): 酸化ストレスの指標で、脂質過酸化の産物。
• MPO (Myeloperoxidase): 好中球由来の酵素で、炎症の指標。
• SOD (Superoxide Dismutase): 酸化ストレスを抑制する酵素。
• COX-2 (Cyclooxygenase-2): 炎症反応に関与する酵素。

論文情報

タイトル

Protective role of hydrogen-rich water on aspirin-induced gastric mucosal damage in rats（水素水がアスピリン誘発胃粘膜損傷に与える保護効果）

引用元

Zhang, J. Y., Wu, Q. F., Wan, Y., Song, S. D., Xu, J., Xu, X. S., Chang, H. L., Tai, M. H., Dong, Y. F., & Liu, C. (2014). Protective role of hydrogen-rich water on aspirin-induced gastric mucosal damage in rats. World journal of gastroenterology, 20(6), 1614–1622. https://doi.org/10.3748/wjg.v20.i6.1614

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