研究論文
The effect of hydrogen gas on the oxidative stress response in adipose tissue(水素ガスが脂肪組織の酸化ストレス反応に与える影響)

水素ガスが脂肪組織の酸化ストレス反応に与える影響

一言まとめ

水素ガスで処理した脂肪組織では酸化ストレス指標が低下し、脂肪細胞のサイズが縮小。酸化ストレスの軽減と脂肪細胞の変化が確認され、アディポサイトカイン発現の調整効果も示唆された。

3分で読める詳細解説

結論

水素ガスは酸化ストレスを軽減し、脂肪組織における脂肪細胞サイズを縮小する可能性がある。

研究の背景と目的

酸化ストレスは、肥満や動脈硬化などの代謝疾患の進行に関与しており、特に脂肪組織の酸化ストレスが重要だと考えられている。水素ガスはその抗酸化作用から酸化ストレス軽減に有効である可能性があるが、その具体的なメカニズムは未解明である。本研究では、水素ガスが脂肪組織に与える影響、特に酸化ストレス反応と脂肪細胞の形態変化に与える影響を調査することを目的とした。

研究方法

  • 対象: 心臓手術を受けた12名の患者(平均年齢71.3歳、BMI: 23.8 kg/m²)。この患者群には高血圧や糖尿病などの既往症を持つ者も含まれていた。
  • 手順: 手術中に得られた皮下脂肪組織(SCAT)を水素ガスを含む培養液に浸漬し、48時間後に組織の重さや酸化ストレスマーカーの発現量、脂肪細胞のサイズなどを測定した。
  • 水素の濃度: 培養液の水素濃度は2.58 PPMで開始し、24時間後には2.5 PPM、48時間後には3.13 PPMまで上昇した。

研究結果

  • 脂肪細胞のサイズ減少: 水素を処理した脂肪組織では、脂肪細胞のサイズが平均83%減少。
  • 酸化ストレスマーカーの減少: 水素処理により、酸化ストレスマーカーであるNrf2が細胞あたり38%、HO-1が23%減少。
  • 酸化ストレス防御酵素SODの発現: SODの発現量は20%増加したが、統計的に有意な差は認められなかった。
  • 脂肪細胞の遺伝子発現: 水素処理後、脂肪細胞でのケメリン遺伝子発現が42%減少し、アディポネクチン遺伝子発現が13%増加した。

Appendix(用語解説)

  • Nrf2: 酸化ストレスに応答して細胞を保護する遺伝子を活性化する転写因子。
  • HO-1: 酸化ストレスに対抗する酵素で、抗酸化および抗炎症作用を持つ。
  • SOD: 酸化ストレスを軽減する酵素で、スーパーオキシドを過酸化水素に変換する役割を持つ。
  • ケメリン: 脂肪細胞から分泌されるアディポカインの一種で、脂肪生成や炎症応答に関与。

論文情報

タイトル

The effect of hydrogen gas on the oxidative stress response in adipose tissue(水素ガスが脂肪組織の酸化ストレス反応に与える影響)

引用元

Tumurbaatar, B., Ogawa, S., Nakamura, N., Yamada, T., Minato, T., Mori, Y., Saiki, T., Matsubara, T., Naruse, K., & Suda, H. (2024). The effect of hydrogen gas on the oxidative stress response in adipose tissue. Scientific reports14(1), 21425. https://doi.org/10.1038/s41598-024-72626-2

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