水素吸入には様々な疾患や健康面でのメリットが期待されてる反面、水素という物質の性質上、爆発の危険性からは逃れられません。
実際、一部の家庭用水素吸入器による軽爆発も報告されています。
こうした事故を防ぐためには、爆発リスクを最小限に抑えた機器を選ぶ以外にも、使用中に注意しておくべきポイントがあります。
本記事では、水素爆発が起こる条件から水素吸入器の利用時に爆発を起こさないためのポイントについて解説します。爆発リスクを最小限に抑えて、安心して水素吸入を活用するためにもぜひご参考ください。
《この記事の執筆者》

当サイト「すいかつねっと」の運営者。3年前に水素の可能性に魅了され、日々独自に探求する水素健康アドバイザー。主に海外の論文をもとに水素を研究し、より多くの人が水素を活用して幸せになれればと情報を発信。
水素爆発が起こる条件やメカニズム
まずは水素爆発とは何か、どういった状況で起こるのかといったメカニズムについて見てみましょう。
そもそも水素爆発とは
水素爆発は、水素濃度が4〜75%で酸素濃度が5%以上が混ざった気体に対して点火することで起きる爆発のことです。
実験室で水素と酸素が混ざったガスに点火して爆発させる動画が参考になります。
《▼水素酸素ガスが爆発した場合▼》
この水素爆発の威力は水素や酸素との割合など様々な要件にとって変化しますが、かなり強力でロケットなどにも使われています。
水素爆発が起こる3条件
水素爆発が発生するには、おもに3つの条件がそろう必要があります。
- 水素ガスの濃度
- 酸素との混合比率
- 引火源の存在
以下でそれぞれ解説します。
条件①:水素ガスの濃度

水素爆発が起こる1つ目の条件は、空気中の水素濃度です。
一般的には4%〜75%の水素濃度が水素爆発が起こる条件となります。※
逆に4%未満や75%以上の場合だと、水素爆発は起きないとされています。
※2019年の水素吸入器を用いた研究では、水素濃度10%以下では爆発しないとの報告もあります。
条件②:酸素との混合比率
酸素濃度も水素爆発が起きる条件の1つです。
一般的には、酸素濃度が5%以上になると水素爆発の危険性が高まるとされています。
条件③:引火源の存在
水素が4〜75%と酸素が5%以上の混合物に、点火するための点火源が加わることで水素爆発を起こします。
引火源とは、火花・熱・静電気など、水素ガスと酸素の反応を促進する要因のことです。
また、点火しない場合でも温度が570℃になると自然発火を起こし、水素爆発が起こります。
以上の3つの条件が揃った場合に水素爆発が起こる危険性があります。
したがって、上記3つの条件を適切に理解し管理することは、水素爆発のリスクを大幅に低減させるために非常に重要となります。
水素ガスを発生させる水素吸入器を扱う際は、これらの要因に十分注意し、安全対策を徹底しましょう。
水素吸入器を安全に使用するためのポイント5つ
まず大前提として、適切に水素吸入器を使用している場合に水素爆発が起こる可能性は非常に低いです。
しかし、万が一に備えてより安全に水素吸入器を使用する方法を理解しておくことは大切です。
水素吸入器をより安全に使うためのポイントは以下の5つです。
- メーカーや販売店の取扱書を遵守する
- 適切な設置場所を選ぶ
- 水素ガスの濃度を管理する
- 静電気など火気に気をつける
以下でそれぞれ解説していきます。
ポイント①:
メーカーや販売店の取扱書を遵守する
まず、何よりも大切なのは、メーカーや販売店が指示する使い方を守るということです。
水素吸入器を安全に使用するには、取扱説明書の熟読から始めましょう。取扱説明書には、製造者や販売店が指定した使用方法が詳しく書かれています。
予期せぬ事故を防ぐためにも、取扱説明書の指示に従って使用してください。
ポイント②:
適切な設置場所を選ぶ
水素吸入器は、換気が良好な場所に設置してください。
換気の悪い部屋で長時間水素吸入器を使用することで、部屋の中に水素が溜まっていき気づかぬうちに水素濃度が上がってしまう可能性があるためです。
冬場など窓を開けて換気するのは寒くてできないという場合は、こまめにドアを開けて空気の入れ替えを行うといった方法でも良いでしょう。
ポイント③:
水素ガスの濃度を管理する
先ほど、空気中の水素濃度が4〜75%が水素爆発の条件の1つとお伝えしました。
水素吸入器を使用中に、室内の水素濃度がこの危険な範囲に達しないよう、濃度管理を行うことが重要です。
水素ガスは、軽量かつ高い拡散性があるため、速やかに広がる性質を持ちます。なので、上記でお伝えしたように換気の良い場所で使用していれば、基本的に心配は必要ないと考えます。
それでも心配という場合は、水素濃度計などを用いて部屋の水素濃度をモニターしておくのも良いでしょう。
ポイント④:
静電気など火気に気をつける
水素吸入器を使用中は、同じ部屋内での火気の使用は絶対に避けましょう。
万が一、水素と酸素濃度の条件が整っている際に、水素爆発を起こしかねません。
また、実は静電気も引火源の1つなので、特に乾燥する時期には注意しておきましょう。静電気対策として、加湿器を設置して部屋の湿度を適切に保つ、機器を使用する前に静電気除去パッドに触れて体の静電気を除去するなどがあります。
ポイント⑤:
カニューレの折れ曲がりに注意する
機器の使用中のカニューレの折れ曲がりにも気をつけておきましょう。
家庭用水素吸入器による軽爆発事故では、使用中にカニューレが折れ曲がり、ガスが内部に滞留。その後、閉塞の解消と同時に水素ガスが一気に放出されたことが爆発要因の1つとされています。
特にシリコン製のカニューレは、折れ曲がってガスが滞りやすいので、使用中もカニューレの状態には気を配っておく必要があります。少し硬めで潰れにくい「ポリ塩化ビニル(PVC)」素材のカニューレを活用するのも対策の1つです。
以上、ご紹介した5つのポイントを理解し実践することで、水素吸入器をさらに安全に使用できるでしょう。
爆発の兆候を見分ける方法
水素ガスは無臭であり、漏れや充満を直接感知することは困難です。
そのため、水素ガスの漏洩や充満を検知するには、水素ガス検知器などを用いる必要があります。
とはいえ、まずは部屋内の水素濃度を上げないことや引火源を断つことが重要になるので、それらの対策をしっかりと行いましょう。
より安心な水素吸入器を選びを
安心して水素吸入器を長期間使用するためには、安全性を高める機能を備えた製品の選択が重要です。
特に、防爆システムやガス漏れ検知機能を搭載した製品は、万が一の事態に備えて迅速かつ効果的に対応できるよう設計されています。これらの機能は、使用中に予期せぬ事態が発生した場合に、自動停止して爆発を防いでくれるため非常に有効です。
さらに、定期的なメンテナンスと点検を行うことも、安全な使用を継続する上で欠かせません。メーカーや専門家による定期的な検査を受けることで、機器の劣化や不具合を早期に発見できます。
そのほか、安全な水素吸入器選びに欠かせないポイントは、以下の記事で解説しているので、ぜひご参考ください。
まとめ:水素吸入器で爆発を起こさないように注意
水素吸入療法は、正しく使用すれば、健康増進に役立つ可能性が高いとされています。
しかし、利益を最大限に得るには、水素吸入器の安全な取り扱いが欠かせません。
本記事で紹介した安全に関するポイントを守ることで、水素吸入をより安全かつ効果的に行うことができるでしょう。
使用中に何らかの異常を感じた場合は、直ちに使用を中止し、機器メーカーや専門家に相談してください。
安全に使用するための予防措置と注意深い管理により、水素吸入療法は健康維持と増進に有効な手段となるでしょう。










