フリーラジカルは、私たちの身の回りにあるすべての物質を構成する基本単位である分子の中に存在する特殊な原子や分子です。一般的な分子の中では、電子がペアを成して安定して存在します。しかし、フリーラジカルの場合、この電子が単独で存在し、ペアを形成していません。この状態の電子を「不対電子」と呼び、そのためにフリーラジカルは非常に反応しやすく不安定な性質を持ちます。
しばしば「活性酸素」と混同されることがありますが、活性酸素の中にはフリーラジカルのものとそうでないものが存在します。たとえば、スーパーオキシドやヒドロキシラジカルはフリーラジカルですが、一重項酸素や過酸化水素はフリーラジカルではありません。フリーラジカルは、その名の通り「ラジカル(過激な)」な振る舞いをするため、電子が不足している状態により、他の分子と簡単に反応してしまいます。
この反応性の高さは、体内で細胞やDNAなどを傷つける原因となり、老化や様々な病気に関連しています。一方で、免疫系ではフリーラジカルが病原体を攻撃する役割を担うなど、生体にとって必要な側面もあります。フリーラジカルは、私たちの健康に影響を与える重要な要素であり、そのバランスを理解し管理することが大切です。