感染症
【医師監修】感染急増中の「ヒトメタニューモウイルス感染症」とは?水素吸入が重症化リスクを減らす可能性

【医師監修】感染急増中の「ヒトメタニューモウイルス感染症」とは?水素吸入が重症化リスクを減らす可能性

《この記事の監修者》

つい先日、X(旧Twitter)でもトレンドになっていた、中国で感染急増している「ヒトメタニューモウイルス感染症」。

乳幼児や高齢者では重症化リスクがあることやSNSで取り上げられていることから、不安な方も多いかと思います。

本記事では、ヒトメタニューモウイルス感染症の原因や症状、治療法をわかりやすく解説し、さらに注目される「水素吸入」の可能性についても科学的根拠をもとに解説していきます。本記事を読めば、ヒトメタニューモウイルス感染症をそこまで怖がる必要がないことに加え、重要な対策方法や水素吸入の可能性が分かりますので、ぜひ最後までご覧ください。

すいかつねっとのエビデンス評価
2.5

動物実験や基礎研究で得られた水素の抗炎症・抗酸化作用がhMPV感染症にも応用可能との示唆があるが、現段階では臨床試験による実証が待たれる段階。

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ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)について

ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)について

ヒトメタニューモウイルス(以下、hMPV)は、子ども(特に5歳未満の乳幼児)や高齢者、免疫力が低下している方などがかかりやすい呼吸器感染症のひとつです。

RSウイルスと並んで、鼻や喉(上気道)から肺(下気道)まで、幅広い呼吸器症状を引き起こすことで知られています。

特に乳幼児や高齢者では重症化して肺炎に至ることもあります 1)。

まずはこの感染症の原因や症状、標準的な治療方法について詳しくみていきましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症の原因

ヒトメタニューモウイルス(以下、hMPV)は、パラミクソウイルス科メタニューモウイルス属に分類されるRNAウイルスです 2)。

飛沫感染(咳やくしゃみによるしぶき)や、接触感染(ウイルスが付着した物に触れる)によって人から人へ移ります 1)。

ウイルスはしばらく物の表面で生きていられるため、ドアノブや共有のおもちゃを介して広がる場合もあるので注意が必要です 3)。

ヒトメタニューモウイルス感染症の症状

hMPV感染症の症状は、一般的な風邪と似ており、代表的な症状は以下のとおりです。

hMPV 感染症の症状
  • 発熱
  • 咳・鼻水・鼻づまり
  • 喉の痛み
  • 呼吸困難(重症例)

たいていは軽い症状だけで自然に回復しますが、「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれるゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音が出たり、肺炎を起こすこともあります。

特に 5 歳未満のお子さんや 65 歳以上の方、基礎疾患をもっている方は重症化のリスクが高いため注意が必要です 4)。

ヒトメタニューモウイルス感染症の治療方法

現在、hMPV専用の抗ウイルス薬やワクチンは開発されていません 5)。

そのため、解熱剤や咳をやわらげる薬を使った対症療法が中心となります 4)。

もし重症化してしまった場合は、酸素投与や呼吸の管理が必要になり、入院をするケースもあります 6)。

また、一部ではリバビリン+免疫グロブリン併用療法の可能性が検討されていますが、まだ広く一般的に使われている治療法ではありません 7)。

水素吸入がヒトメタニューモウイルス感染症に役立つ可能性

水素吸入療法とは、抗酸化作用のある分子状水素(H₂)を鼻カニューレやマスクを通じて吸入する治療法で、美容や医療の分野で近年注目を集めている療法の1つです。

現在のところ、hMPV感染症に対して水素吸入療法の効果を直接検討した研究は報告されていません。

しかし、他のウイルス性呼吸器感染症(例:COVID-19)で認められた抗炎症作用や酸化ストレスの抑制効果は、hMPV感染症でも同様に作用する可能性が期待されています。

抗炎症作用による気道炎症の軽減

Fuらによる2022年の研究では、水素が肺組織の過剰炎症を抑える仕組みが報告され、hMPV 感染症の炎症を抑える可能性が示唆されています。

具体的には、水素が TNF-αやIL-1βといった炎症を引き起こす物質(サイトカイン)の放出を抑える一方、IL-10など炎症をおさえる物質の産生を高めるとされています。

加えて、MIP-1α・MIP-2(ケモカイン)や ICAM-1・G-CSF(細胞接着分子)といった物質の発現も減らし、肺に集まりすぎる好中球やマクロファージを制御すると考えられています。

これらは、敗血症モデルなどさまざまな実験で確認されており、気道のバリア機能を保護して、組織のダメージを防ぐのに役立つ可能性があるということです。

抗酸化作用による細胞障害の軽減

Huらによる2024年の研究では、水素が持つ”選択的抗酸化作用”によって、細胞を傷つけるフリーラジカル(活性酸素種)を取り除くしくみが紹介されています。

さらに、水素は体内のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラーゼ(CAT)などの抗酸化酵素を活性化し、酸化ストレスを減らす効果があるとも報告されています。

例えば、実験レベルでは水素ガスを吸入したり、水素を溶かした液体を体に入れたたりすることで、酸化ストレスの指標が下がり、傷ついた細胞の回復が促されるとのデータがあります。

hMPV 感染症においても、こうした酸化ストレス由来の気道や肺のダメージを軽くできるかもしれない、というわけです。

まとめ:水素吸入はヒトメタニューモウイルス感染症に有効なのか

hMPV 感染症は一般的に軽症で経過することが多いですが、特に小児や高齢者、基礎疾患を持つ方では重症化するリスクが高いとされています。

現状ではワクチンがないこともあり、手洗いや咳エチケット、マスク着用といった基本的な感染対策が非常に重要です。

一方で、水素吸入療法はさまざまな病態に対する研究が進められており、抗酸化作用・抗炎症作用という観点から hMPV感染症を含めた呼吸器ウイルス感染症全般に応用できる可能性が示唆されています。

まだ研究段階ではありますが、今後、hMPV感染症に対するランダム化比較試験などが行われれば、重症化予防や症状改善への有用性が明らかになるかもしれません。

治療や予防法の選択肢が限られている現状で、こうした新たなアプローチが示されたのは大きな進歩だと思います。

それでもまずは、基本的な感染対策をしっかり行うことが何より重要です。万が一、気になる症状が長引く場合は、早めに医療機関を受診してください。

参考文献
  1. Human Metapneumovirus (HMPV): Symptoms & Treatment – Cleveland Clinic
  2. Human Metapneumovirus: A Largely Unrecognized Threat to Human Health – MDPI
  3. About Human Metapneumovirus – CDC
  4. Human Metapneumovirus (HMPV): Symptoms, Treatment and Risks – WebMD
  5. Human metapneumovirus (HMPV) – Public Health Scotland
  6. Human Metapneumovirus (HMPV): Symptoms, Risks, Treatment & Prevention Tips
  7. The human metapneumovirus: a case series and review of the literature – PMC
  8. Fu, Z., & Zhang, J. (2022). Molecular hydrogen is a promising therapeutic agent for pulmonary disease. Journal of Zhejiang University. Science. B23(2), 102–122. https://doi.org/10.1631/jzus.B2100420
  9. Hu, Q., Li, Y., Lin, Z., Zhang, H., Chen, H., Chao, C., & Zhao, C. (2024). The Molecular Biological Mechanism of Hydrogen Therapy and Its Application in Spinal Cord Injury. Drug design, development and therapy18, 1399–1414. https://doi.org/10.2147/DDDT.S463177

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