【医師監修】目の健康を守る！水素吸入で視力低下を予防・改善

《この記事の執筆者》

成田亜希子 先生

2011年国立大学医学部卒。初期臨床研修を経て総合診療医として勤務しながら、さまざまな疾患の患者さんに向き合う治療に従事。医療行政に従事していた期間もあり、精神福祉、母子保健、感染症、がん対策、生活習慣病対策などに携わる。結核研究所や国立医療科学院での研修も積む。2020年からは医療法人ウェルパートナーで主任医師を勤める。

視力の低下は、多くの人が日常的に直面する問題です。「最近、文字が見えづらくなってきた」「目が疲れやすい」といった悩みを抱えている方も少なくないでしょう。視力が低下すると、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。

この記事では、水素吸入が視力低下の予防や回復にどのように役立つのか、最新の研究結果を交えて詳しくご紹介します。視力低下の原因や症状、そして水素吸入による視力改善の可能性を探り、あなたの視力を守るためのヒントをお届けします。ぜひ最後までご覧ください。

視力が低下する原因は？予防や回復方法はある？

私たちは目を通して世界のさまざまなものを見ています。

視力は目でものを見る能力のことであり、視力が低下するとものの見え方に異常が生じて日常生活に支障を来すケースも少なくありません。

視力低下の原因はさまざまあり、さらに症状の現れ方も多岐に渡ります。

まずは視力低下の特徴について詳しく見てみましょう。

視力低下の原因

視力の低下はさまざまな原因によって引き起こされます。

生まれつき、遺伝、目の病気などがありますが、代表的な原因として以下のものが挙げられます。

近視、遠視、乱視などが原因の場合は少しずつ視力低下が進行していきますが、目のけがや病気が原因の場合は急激な視力低下が生じることがあるため注意が必要です。

視力低下の症状

視力の低下は、ものが見えにくくなるという以外に以下のような症状が現れることがあります。

また、急激な視力低下を引き起こす病気の場合には、目の痛み、光のまぶしさ、頭痛、吐き気、流涙などの症状を伴うことがあります。さらに、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などは進行すると失明に至る場合もあるので注意が必要です。

視力低下を改善させるには？

近視、遠視、乱視などはメガネやコンタクトレンズなどで視力を矯正すればものがすっきり見えるようになります。近年では、レーシックや眼内レンズ挿入などの手術をして視力を回復させる方法も開発されています。

一方、けがや病気が原因の視力低下は、その病気に対する治療を継続していくことが大切です。特に緩やかに進行するタイプの病気では目立った自覚症状がないため、治療を自己中断する方も少なくありません。しかし、進行して気付いたときにはすでに視力を取り戻せなくなっているケースは少なくないのです。

水素吸入は視力低下の予防や回復に立つ？

視力の低下を完全に予防する方法はなく、治す方法も限られています。治療を継続していても著しい視力低下や失明に至るケースも少なくありません。

これまでにも新たな視力低下の予防や改善方法を見出す研究は広く行われてきました。水素吸入もその一つであり、水素吸入と視力回復の関係を示す研究結果が報告されています。

具体的にどのような内容なのか詳しく見てみましょう。

水素水の目薬が網膜へのダメージを抑える

2010年に、日本の研究チームは水素水が網膜へのダメージを抑制して回復させる効果がある可能性を示唆する研究結果を報告しました^1）。

この研究は、目の内部の圧力を高めて網膜にダメージを引き起こしたマウスを用いた動物実験です。網膜にダメージを引き起こしたマウスに水素ガスが含まれた生理食塩水の目薬をさして目の状態を評価しました。

その結果、水素水の目薬を使用したマウスの目の内部では炎症を引き起こす物質の産生量が低下し、網膜の厚みが70％以上回復したことが明らかになっています。

水素吸入が視力を回復させる？

今回の研究結果から、水素水の目薬は眼圧上昇による網膜へのダメージを抑制して、視力低下を予防する可能性が示唆されました。眼圧上昇を引き起こす代表的な病気は緑内障です。緑内障は中高年の失明原因第一位であり、水素水の目薬が失明予防につながる可能性があるといえるでしょう^2）。

まだ動物実験の段階であるため、確実な効果があるとは言えません。しかし、この研究結果は治療を継続しても視力低下を食い止めることができない緑内障患者の希望となることでしょう。

水素吸入は水素水の点眼や摂取よりも効率よく水素分子を取り込むことができます。そのため、水素吸入にも同様の効果が期待できるかもしれません。

水素吸入は視力低下を招く加齢黄斑変性の治療に有用

2022年に、日本の研究チームは水素水が加齢黄斑変性の症状を改善させる可能性を示唆する研究結果を報告しました^3）。

この研究では、加齢黄斑変性と同様の病態に導いたマウスを用い、水素吸入をした群としていない群に分けて目の状態を比較検討しました。

その結果、水素吸入をした群はしていない群と比較して有意に網膜の状態を改善したことが明らかになっています。さらに、水素吸入時間を長くするほど状態の改善が認められたことも明らかになりました。

水素吸入は加齢黄斑変性の視力を回復させる？

今回の研究から、水素吸入は加齢黄斑変性の網膜の状態を改善し、視力低下などの症状を抑える可能性が示されました。

加齢黄斑変性は中高年の失明原因第5位であり、年々発症者も増えています^2）。一方で、治療を継続しても視力低下が抑えられないケースは珍しくありません。

この研究は動物実験であり、人に対しても同様の効果があると断定できる段階ではありません。今後、加齢黄斑変性の新たな治療法の一つとしてさらなる究明が進むことを期待します。

【私はこう考える】水素吸入と視力低下

視力低下の原因はさまざまあり、なかには著しく視力が低下したり、失明に至ったりする場合もあります。特に緑内障や加齢黄斑変性などの病気は治療を継続していても視力低下が進行するケースも少なくありません。

視力低下の予防や改善も多くの方法が研究されています。今回ご紹介した2つの研究結果からは水素吸入が視力低下の予防や回復に役立つ可能性が示唆されました。

水素吸入は体への負担がほとんどなく、自宅でも簡単に行うことができます。すでに目の病気と診断されている人も、将来的に視力低下を予防したい人も視力低下対策の一つとして水素吸入を取り入れてみるのもよいでしょう。