水素水は放射線誘発性腸管毒性を軽減する

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結論

水素水は放射線誘発性腸管毒性を軽減し、腸内細菌叢を保護する。

研究の背景と目的

放射線療法は、現代のがん治療の基盤であるが、腹部および骨盤内のがんに対する治療後には消化管毒性がしばしば生じる。これにより、がん生存者の生活の質が低下し、寿命が短くなることがある。水素は、酸化ストレスと過剰な炎症による組織損傷を保護する効果があり、放射線による腸管損傷に対する影響は未知であった。本研究では、水素水の放射線誘発性腸管毒性に対する保護効果とそのメカニズムを解明することを目的とした。

研究方法

• 対象：オスのC57BL/6マウス
• モデル作成：15 Gyの全腹部照射（TAI）により消化管毒性を誘発
• グループ分け：ランダムに2グループ
  • TAI群：15 Gy TAI処置、通常水を経口投与
  • TAI+HW群：15 Gy TAI処置、水素水を経口投与（0.2 ml、1日2回）
• 評価項目：生存率、体重、消化管機能、腸管酸化ストレスマーカー、腸内細菌叢の構成

研究結果

• 生存率：水素水群では生存率が有意に向上（TAI群50% vs 水素水群90%, p < 0.05）
• 体重：水素水群では体重低下が抑制（TAI群22g→18g、水素水群22g→20g, p < 0.01）​。
• 腸管機能と酸化ストレス：水素水群では腸管機能が改善され、酸化ストレスマーカー（MDA）が有意に減少（p < 0.005）​。
• MyD88の発現：水素水群ではMyD88のmRNAおよびタンパク質レベルが有意に減少（p < 0.01）​。
• 腸内細菌叢の変化：水素水摂取により、腸内細菌叢の多様性が維持され、特定の細菌（Bacteroidesなど）が増加​。
• miR-1968-5pの役割：水素水はmiR-1968-5pのレベルを上昇（vs TAI p < 0.05）させ、MyD88の発現を抑制​

Appendix（用語解説）

• MyD88：免疫応答を調節するアダプタータンパク質
• 腸内細菌叢：腸内に存在する多種多様な微生物の集合体

論文情報

タイトル

Hydrogen-water ameliorates radiation-induced gastrointestinal toxicity via MyD88’s effects on the gut microbiota（水素水はMyD88を介した腸内細菌叢への影響により放射線誘発性腸管毒性を軽減する）

引用元

Xiao, H. W., Li, Y., Luo, D., Dong, J. L., Zhou, L. X., Zhao, S. Y., Zheng, Q. S., Wang, H. C., Cui, M., & Fan, S. J. (2018). Hydrogen-water ameliorates radiation-induced gastrointestinal toxicity via MyD88’s effects on the gut microbiota. Experimental & molecular medicine, 50(1), e433. https://doi.org/10.1038/emm.2017.246

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