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研究報告

腸内細菌叢に対する水素水と水素吸入の異なる影響

更新日:2026/02/11
Different effects of hydrogen-rich water intake and hydrogen gas inhalation on gut microbiome and plasma metabolites of rats in health status(健康状態のラットの腸内細菌叢と血漿代謝物に対する水素水摂取と水素ガス吸入の異なる影響)
6ヶ月間の水素水摂取あるいは水素吸入を健康ラットに実施し、腸内細菌叢と血漿代謝物への影響を比較。水素水摂取では腸内細菌叢構造が大きく変化し、水素吸入では食事・水分摂取量が減少し体重も低下するなど、全く異なる変化が観察された。
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

長期の水素水摂取と水素吸入ではそれぞれ腸内細菌叢や代謝経路に異なる変化をもたらす可能性がある。

研究の背景と目的

従来の研究で、水素介入がさまざまな疾患モデル(虚血再灌流障害や炎症、代謝異常など)に有用であることが報告されてきた。ただし、水素水摂取と水素吸入が健康状態の動物に与える影響を直接比較した研究は限られており、特に腸内細菌叢や血漿代謝物への作用は十分に解明されていない。本研究は、健康なラットを対象に長期(6ヶ月)の水素水摂取または水素吸入がもたらす腸内環境や代謝プロファイルの変化を調査し、水素の投与経路の違いがどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした。

研究方法

  • 対象者(ラット)
    • 3週齢の雄のSprague–Dawley系ラット18匹を使用
    • 体重約40–50gで購入後、1週間の馴化期間を経て実験開始
    • 3群に無作為に分割(各群6匹)
  • 介入方法
    • 水素水: 1回あたり1時間、1日2回、6ヶ月間。水素濃度は800 µM以上を維持
    • 水素吸入: 1回あたり1時間、1日2回、6ヶ月間。濃度4%の水素を吸入
    • 対照群: 特に水素介入なしで通常飼育
  • 対照群の設定
    • 通常飼育条件で飼育された群を対照として設定
  • 評価方法
    • 腸内細菌叢解析: 糞便からDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子(V3–V4領域)をターゲットとするシーケンスを実施。得られた配列のOTU(Operational Taxonomic Unit)解析と多様性解析を行い、群間比較
    • 血漿代謝物解析: 採血した血漿をLC–MSベースの擬似ターゲットメタボロミクス法で解析し、差異のある代謝物(メタボライト)を特定
    • メタボリックケージ実験(4週間): 食事摂取量、水分摂取量、排泄量、体重変化などを週1回測定し、介入の影響を評価

研究結果

  • 体重・摂食行動・排泄
    • 水素吸入群は対照群より有意に体重が低下(6ヶ月後の体重: 吸入群455.20±31.57g vs. 対照群525.00±17.78g, p=0.007)
    • 水素吸入群は食事・水分摂取量が減少し、排便・排尿回数も減少
    • 水素水群では体重や摂食行動に顕著な変化は見られず
  • 血漿代謝物の変化
    • 水素水群と対照群の比較では14種の代謝物、水素吸入群と対照群では10種の代謝物に有意な変動が確認された
    • 水素水群で変動した代謝物はすべて「減少」方向、水素吸入群で変動した代謝物はすべて「増加」方向
    • 水素水群では主に「デンプン・スクロース代謝系」「ヌクレオチド修飾関連」などが関与
    • 水素吸入群では「アルギニン合成系」「クエン酸回路中間体(マリック酸など)」の増加が顕著
  • 腸内細菌叢の変化
    • 水素水群では対照群と腸内細菌叢の構造に有意な差が認められ、ラクトバチルス、ルミノコッカス、クロストリジウムXIなどの増加、バクテロイデスなどの減少が確認された
    • 水素吸入群と対照群の腸内細菌叢には大きな差が見られず(ANOSIMで有意差なし)
    • 水素水群と水素吸入群では、属レベルで多数の菌叢変化があり、特に水素水群で大きな変化が起きていた
    • 機能予測(PICRUSt)でも、水素水群と水素吸入群で異なる遺伝子経路の増減が確認された
  • 研究の限界
    • 腸内細菌叢については属レベルでの比較にとどまり、種レベル・株レベルの詳細な検証は未実施
    • 代謝物変動と腸内細菌叢変化の因果関係は未解明であり、さらなる検証が必要

Appendix(用語解説)

  • 腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう):腸内に生息する細菌の集まりを指す。健康状態の維持や免疫機能、代謝などに深く関与する。
  • 16S rRNA遺伝子シーケンス:原核生物(細菌)がもつ16S rRNA遺伝子の配列を解析し、菌の種類や構成を推定する手法。
  • メタボロミクス(Metabolomics):生体内に存在するさまざまな低分子代謝物を網羅的に解析し、代謝経路や機能的変化を調べる研究手法。
  • クエン酸回路(TCA回路):細胞内のミトコンドリアで行われる主要なエネルギー産生経路。糖・脂質・アミノ酸代謝をつなぐ中心的プロセス。
  • PICRUSt(ピクルスト):16S rRNAシーケンスのデータから微生物群集がもつ遺伝子機能を推定するバイオインフォマティクス手法。

論文情報

タイトル

Different effects of hydrogen-rich water intake and hydrogen gas inhalation on gut microbiome and plasma metabolites of rats in health status(健康状態のラットの腸内細菌叢と血漿代謝物に対する水素水摂取と水素ガス吸入の異なる影響)

引用元

Xie, F., Jiang, X., Yi, Y., Liu, Z. J., Ma, C., He, J., Xun, Z. M., Wang, M., Liu, M. Y., Mawulikplimi Adzavon, Y., Zhao, P. X., & Ma, X. M. (2022). Different effects of hydrogen-rich water intake and hydrogen gas inhalation on gut microbiome and plasma metabolites of rats in health status. Scientific reports, 12(1), 7231. https://doi.org/10.1038/s41598-022-11091-1

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公開日:2024/08/05
最終更新日:2026/02/11
目次
  1. 3分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 専門家のコメント

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公開日:2024/08/05
最終更新日:2026/02/11
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