水素吸入による放射線皮膚炎と皮膚損傷に対する保護効果

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結論

水素吸入は放射線皮膚炎の重症度を軽減し、皮膚の傷の治癒を促進する。

研究の背景と目的

放射線治療はがん治療の一環として広く使用されているが、皮膚炎や皮膚潰瘍といった副作用が生じることがある。これらの副作用は治療を中断させる原因となり得るため、新しい治療方法が求められている。本研究は、水素ガス吸入が放射線による皮膚損傷を軽減し、治癒を促進する効果を評価することを目的としている。

研究方法

• 対象：オスのSprague-Dawleyラット（約350g、10週齢）
• 処置：
  • 水素含有ガス（水素1.3%、酸素20.8%、窒素77.9%）を2L/分で2時間吸入
  • X線20Gy照射（背部皮膚、2.3cm径の2箇所）
• 群分け：
  • 照射前吸入群
  • 照射後吸入群
  • 非吸入群
  • コントロール群（非照射）
• 評価項目：
  • 皮膚炎スコア（28日間）
  • 創傷治癒率（20日間）
  • アポトーシス細胞数（TUNEL染色）
  • 酸化ストレスマーカー（8-OHdG染色）
  • 血清中MDAと8-OHdG濃度

研究結果

• 皮膚炎スコア：照射前吸入群で有意に低下（7、14、21日目、p<0.05）(Fig. 1)
• 創傷治癒率：照射前吸入群で有意に改善（3-20日目、p<0.05）(Fig. 2)
• アポトーシス細胞数：照射前吸入群で有意に減少（照射24時間後、p<0.05）(Fig. 4)
• 8-OHdG陽性細胞数：照射前吸入群で有意に減少（照射24時間後、p<0.05）(Fig. 5)
• 血清MDA・8-OHdG濃度：群間で有意差なし（照射5時間後）(Fig. 6)

Appendix（用語解説）

• 放射線皮膚炎：放射線照射による皮膚の炎症反応
• アポトーシス：プログラムされた細胞死
• TUNEL染色：アポトーシス細胞を検出する染色法
• 8-OHdG：DNA酸化損傷のマーカー
• MDA：脂質過酸化のマーカー

論文情報

タイトル

Protective effect of inhalation of hydrogen gas on radiation-induced dermatitis and skin injury in rats（ラットにおける放射線誘発性皮膚炎および皮膚障害に対する水素ガス吸入の防護効果）

引用元

Watanabe, S., Fujita, M., Ishihara, M., Tachibana, S., Yamamoto, Y., Kaji, T., Kawauchi, T., & Kanatani, Y. (2014). Protective effect of inhalation of hydrogen gas on radiation-induced dermatitis and skin injury in rats. Journal of radiation research, 55(6), 1107–1113. https://doi.org/10.1093/jrr/rru067

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