研究論文
Hydrogen-oxygen therapy can alleviate radiotherapy-induced hearing loss in patients with nasopharyngeal cancer(水素酸素療法は鼻咽頭がん患者の放射線治療誘発性難聴を軽減できる)

水素吸入は放射線治療誘発性難聴を軽減できる

一言まとめ

鼻咽頭がん放射線治療後の聴力低下患者3名に対し、1日4時間の水素酸素吸入療法を0.5〜2ヶ月間実施したところ、全員の聴力が改善し、1名は補聴器使用を中止できた。

3分で読める詳細解説

結論

水素酸素吸入療法は、鼻咽頭がん放射線治療後の聴力低下を改善する可能性がある。

研究の背景と目的

鼻咽頭がんの主な治療法である放射線療法は、外耳・中耳の損傷による伝音性難聴や、蝸牛・聴神経の損傷による感音性難聴を引き起こす可能性がある。放射線治療後の聴力低下に対する特定の治療法はなく、本研究では水素酸素吸入療法の効果を検証することを目的とした。

研究方法

鼻咽頭がんの放射線治療後に滲出性中耳炎を発症し、その後聴力低下が進行した3名の患者(63歳女性、64歳女性、63歳男性)を対象とした。水素酸素吸入器を用いて、1日4時間、3L/分の水素ガス(67%水素、33%酸素)を0.5〜2ヶ月間吸入させた。治療前後で純音聴力検査、ティンパノメトリー、耳鏡検査を実施し、聴力の変化を評価した。

研究結果

  • 3名全員の聴力が改善。治療期間は0.5〜2ヶ月で、改善までの期間に大きな差はなかった。
  • 症例1(63歳女性):
    • 1.5ヶ月の治療後、右耳の平均聴力閾値が骨導で53.75 dBから51.25 dB、気導で90 dBから80 dBに改善。左耳は骨導で55 dBから47.5 dB、気導で72.5 dBから71.25 dBに改善。
  • 症例2(64歳女性):
    • 1ヶ月の治療後、右耳の平均聴力閾値が骨導で67.5 dBから42.5 dB、気導で101.25 dBから78.75 dBに改善。左耳は骨導で65 dBから37.5 dB、気導で110 dBから65 dBに改善。
  • 症例3(63歳男性):
    • 2ヶ月の治療後、右耳の平均聴力閾値が骨導で22.5 dBから12.5 dB、気導で62.5 dBから41.25 dBに改善。左耳は骨導で25 dBから12.5 dB、気導で58.75 dBから42.5 dBに改善し、補聴器の使用を中止できた。。
  • 純音聴力検査では改善が見られたが、ティンパノメトリーと耳鏡検査では変化が見られなかった。これは機能的な改善であり、器質的な変化ではない可能性がある。
  • 水素酸素吸入療法の効果メカニズムとして、抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用、局所的な低酸素状態の改善などが考えられる。

Appendix(用語解説)

  • 滲出性中耳炎:中耳腔に液体が貯留する炎症性疾患。
  • 純音聴力検査:異なる周波数の純音を用いて聴力を測定する検査。
  • ティンパノメトリー:中耳の状態を評価する検査。
  • 耳鏡検査:外耳道や鼓膜の状態を観察する検査。

論文情報

タイトル

Hydrogen-oxygen therapy can alleviate radiotherapy-induced hearing loss in patients with nasopharyngeal cancer(水素酸素療法は鼻咽頭がん患者の放射線治療誘発性難聴を軽減できる)

引用元

Chen, J., Kong, X., Mu, F., Lu, T., Du, D., & Xu, K. (2019). Hydrogen-oxygen therapy can alleviate radiotherapy-induced hearing loss in patients with nasopharyngeal cancer. Annals of palliative medicine8(5), 746–751. https://doi.org/10.21037/apm.2019.11.18

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