研究論文
Controlled release of hydrogen by implantation of magnesium induces P53-mediated tumor cells apoptosis(マグネシウムの埋め込みによる制御された水素放出がP53を介したがん細胞のアポトーシスを誘導)

水素がガン細胞のアポトーシスを誘導

一言まとめ

マグネシウムの生体内分解により放出される水素が、P53タンパク質を介してがん細胞のアポトーシスを誘導し、腫瘍の成長を抑制することを in vitro および in vivo で実証。

3分で読める詳細解説

結論

マグネシウム由来の水素がP53を活性化し、がん細胞のアポトーシスを誘導する。

研究の背景と目的

従来の水素治療は、吸入や経口摂取が主流であったが、体内の腫瘍周囲での水素飽和を達成するのが難しいという課題があった。本研究では、マグネシウムを埋め込むことによる局所的な水素放出が、腫瘍細胞に対する効果を持つかを調査し、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。

研究方法

  • 材料と処理:
    • 高純度マグネシウムシートとワイヤーを使用。
    • マグネシウムシートを研磨し、エタノールで洗浄後、紫外線照射で殺菌。
  • 水素放出の測定:
    • 異なるpH値(5.6, 6.5, 7.4)のPBS溶液中での水素放出を測定。
    • マグネシウムシートの露出面積を変更し、水素放出量を測定。
  • 細胞実験:
    • ヒト結腸癌細胞(HCT116)と正常なヒト結腸上皮細胞(HCoEpiC)を使用。
    • 水素含有培地での細胞の形態変化と生存率を観察。
  • 動物実験:
    • BALB/cヌードマウスにHCT116細胞を移植し、マグネシウムワイヤーを腫瘍に埋め込み。
    • 腫瘍の大きさと体重変化を記録。

研究結果

  • 水素放出量:
    • 露出面積の増加とpHの低下により、水素放出量が増加。
    • pH7.4で98.50±6.76μMから236.50±10.50μMへ増加。
    • pH5.6で水素放出が147.40倍に増加。
  • 細胞実験:
    • 水素濃度61.83±2.75 μMで72時間処理後、腫瘍細胞数が90.47±1.62%減少。(Fig. 2c)
    • アポトーシス率は35.96±0.73%に上昇。(Fig. 2e)
    • P53、カテプシンB、Bax/Bcl-2の発現が上昇。(Fig. 4a)
  • 動物実験:
    • マグネシウムワイヤー埋め込みによる水素放出で、腫瘍の増殖が64%抑制(Fig. 5d)。
    • TUNEL染色によるアポトーシス率は対照群の14.46倍。(Fig. S15)

Appendix(用語解説)

  • アポトーシス: 細胞の計画的な死。細胞が自己破壊する過程。
  • P53: 腫瘍抑制タンパク質で、細胞周期の制御とアポトーシス誘導に関与。
  • ROS: 活性酸素種。細胞にダメージを与える反応性の高い分子。
  • TUNEL染色:アポトーシスを起こした細胞のDNA断片化を検出する方法。

論文情報

タイトル

Controlled release of hydrogen by implantation of magnesium induces P53-mediated tumor cells apoptosis(マグネシウムの埋め込みによる制御された水素放出がP53を介したがん細胞のアポトーシスを誘導)

引用元

Zan, R., Wang, H., Cai, W., Ni, J., Luthringer-Feyerabend, B. J. C., Wang, W., Peng, H., Ji, W., Yan, J., Xia, J., Song, Y., & Zhang, X. (2021). Controlled release of hydrogen by implantation of magnesium induces P53-mediated tumor cells apoptosis. Bioactive materials9, 385–396. https://doi.org/10.1016/j.bioactmat.2021.07.026

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