研究論文
水素吸入による喘息とCOPD患者の気道炎症改善

水素吸入による喘息とCOPD患者の気道炎症改善

一言まとめ

喘息とCOPD患者に2.4%の水素ガスを45分間吸入させたところ、気道の炎症性サイトカインが減少し、気道の炎症が軽減された。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入は、喘息とCOPD患者の気道炎症を短時間で軽減できる可能性がある。

研究の背景と目的

水素は抗酸化作用と抗炎症作用を持つことが知られている。喘息やCOPDなどの気道疾患は慢性の気道炎症が特徴だが、水素吸入がヒトの気道炎症に及ぼす影響は不明だった。そこで本研究は、喘息とCOPD患者に水素ガスを吸入させ、気道の炎症に対する急性効果を調べることを目的とした。

研究方法

  • 20-65歳の喘息患者10名とCOPD患者10名を対象とした。
  • 2.4%の水素ガスを含む混合ガス(XEN)を1回45分間吸入させた。
  • 吸入前後で、末梢血と呼気凝縮液(EBC)中の各種炎症性サイトカインを測定した。

研究結果

  • 水素吸入により、COPD群(564.70→451.51 pg/mL、p=0.019)と喘息群(386.39→332.76 pg/mL、p=0.033)の両方で血中MCP-1レベルが有意に低下した。
  • 喘息群では血中IL-8レベルも有意に低下した(5.25→4.49 pg/mL、p=0.023)。
  • EBC中のIL-4はCOPD群で(0.80→0.64 pg/mL、p=0.025)、IL-6は喘息群で(0.06→0.05 pg/mL、p=0.007)、吸入後に有意に減少した。
  • 一方、COPD群のEBC中sCD40Lは吸入後に増加した(1.07→1.16 pg/mL、p=0.023)。

Appendix(用語解説)

  • COPD:慢性閉塞性肺疾患。喫煙などが原因で気道の炎症が起こり、呼吸機能が低下する病気。
  • 呼気凝縮液(EBC):呼気中の水蒸気を冷却して得られる液体成分。気道の炎症マーカーを反映する。
  • サイトカイン:炎症反応などを調節するタンパク質の総称。IL-4やIL-6、IL-8、MCP-1など多数ある。

論文情報

タイトル

Hydrogen gas (XEN) inhalation ameliorates airway inflammation in asthma and COPD patients(喘息とCOPD患者における水素ガス(XEN)吸入による気道炎症の改善)

引用元

Wang, S. T., Bao, C., He, Y., Tian, X., Yang, Y., Zhang, T., & Xu, K. F. (2020). Hydrogen gas (XEN) inhalation ameliorates airway inflammation in asthma and COPD patients. QJM : monthly journal of the Association of Physicians113(12), 870–875. https://doi.org/10.1093/qjmed/hcaa164

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