一言まとめ
マウスの結腸がんモデルにおいて、水素水と5-FUの併用投与は、腫瘍の成長抑制、重量減少、線維化の軽減において、水素水単独や5-FU単独よりも優れた効果を示した。一方で、水素水は酸化ストレスを軽減し抗酸化活性を高めたのに対し、5-FUとの併用では水素の抗酸化作用が相殺された。
3分で読める詳細解説
結論
水素水は5-FUと同等の抗腫瘍効果を示し、併用でさらに効果が増強された。
研究の背景と目的
大腸がんは世界で3番目に多いがん関連死の原因である。外科的切除が第一選択だが、非侵襲的治療の開発も重要課題。5-FUは広く使用される化学療法薬だが、副作用の問題もある。一方、水素分子は抗酸化・抗炎症作用を有し、抗腫瘍効果も示唆されている。本研究では、水素水と5-FUの単独および併用効果を、マウス結腸がんモデルで検証した。
研究方法
BALB/cマウスの左腹部皮下に結腸がん細胞を移植し、腫瘍形成マウス24匹を4群に無作為に分けた(各群6匹)。
- コントロール群
- 5-FU群:5-FU 5mg/kgを隔日で腹腔内投与
- 水素群:水素発生剤を溶解した飲用水を自由摂取させ、同液を1日200μL経口投与
- 併用群:5-FUと水素水を併用
研究結果
Appendix(用語解説)
- 5-FU(フルオロウラシル):抗がん剤の一種。DNAとRNAの合成阻害により細胞増殖を抑制する。
- 酸化ストレス:活性酸素種の過剰産生により生体成分が酸化的損傷を受けること。がんの原因の一つ。
- MDA(マロンジアルデヒド):脂質の過酸化の指標となる物質。
- SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、カタラーゼ:活性酸素を分解する抗酸化酵素。
論文情報
タイトル
Hydrogen-rich water exerts anti-tumor effects comparable to 5-fluorouracil in a colorectal cancer xenograft model(結腸がんマウスモデルにおいて、水素水は5-フルオロウラシルに匹敵する抗腫瘍効果を示す)
引用元
Asgharzadeh, F., Tarnava, A., Mostafapour, A., Khazaei, M., & LeBaron, T. W. (2022). Hydrogen-rich water exerts anti-tumor effects comparable to 5-fluorouracil in a colorectal cancer xenograft model. World journal of gastrointestinal oncology, 14(1), 242–252. https://doi.org/10.4251/wjgo.v14.i1.242
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