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研究報告

心血管疾患の予防と治療における水素分子の可能性

水素分子は有害な活性酸素を選択的に除去し、副作用なく心疾患や老化を抑制する極めて安全な物質
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

水素分子は、猛毒な活性酸素を選択的に除去し、副作用なく心血管疾患や老化を抑制する極めて安全な物質である。

研究の背景と目的

心血管疾患や加齢、認知障害の共通要因は「酸化ストレス(体内のサビ)」にあると考えられている。従来の抗酸化剤は、健康維持に必要な活性酸素まで除去してしまったり、細胞の奥深くまで届かなかったりするため、期待されたほどの治療効果が得られていなかった。そこで本研究は、独自の物理・化学的特性を持つ水素分子が、新たな予防・治療ツールとしてどのようなポテンシャルを持っているかを明らかにすることを目的としている。

研究方法

本論文は、過去の研究成果を統合的に分析したレビュー(総説)である。

  • 対象: これまでに発表された1,800以上の科学的著作、および80以上のヒト臨床試験(心血管疾患、代謝疾患、脳梗塞、移植、放射線損傷、加齢など多岐にわたる)を参照している。
  • 介入方法(代表例):
    • 水素吸入: 濃度1〜4%程度の水素吸入が多くの実験(ラット、ブタ、ヒト)で用いられている。
    • 水素水の飲用: 飽和濃度(0.8 mM程度)の水素水の摂取。
    • その他: 水素生理食塩水の注射、水素風呂、腸内細菌による水素発生の促進など。
  • 評価方法: 酸化ストレス指標(MDA、8-OHdGなど)、炎症マーカー(TNF-α、IL-6など)、心臓梗塞サイズ、生存率、認知機能の変化などを用いて評価。

研究結果

  • 選択的な抗酸化作用: 水素分子は、体内で最も凶悪な活性酸素である「ヒドロキシルラジカル(·OH)」と「ペロキシナイトライト(ONOO-)」のみを選択的に中和し、細胞内の信号伝達に必要な有用な活性酸素は保存する。
  • 心血管の保護: 動物実験において、2〜4%の水素吸入により心筋梗塞の範囲(梗塞サイズ)が縮小し、心機能が改善した 。また、日本では「心停止後症候群」の治療として、360名を対象とした水素吸入の大規模臨床試験が進められている。
  • 遺伝子・防御システムの活性化: 水素分子は細胞内の「Nrf2経路」を活性化し、体内に備わっている200以上の抗酸化・解毒遺伝子の働きを強める。
  • 腸内環境の改善: 水素水の飲用により、腸内細菌叢のバランスや多様性が改善され、抗炎症効果や全身的な健康維持に寄与することが示唆されている。
  • 極めて高い安全性: 高濃度の水素吸入でも毒性は一切認められず、血圧やpHへの影響も見られないため、非常に安全である。
  • 考察: 水素分子の小ささと脂溶性の高さにより、脳関門を通過し、細胞の核やミトコンドリアまで迅速に拡散して直接ダメージを防ぐことができる。
  • 研究の限界: 非常に有望な結果が得られているが、水素分子が作用する「一意的(プライマリ)なターゲット」の特定や、最適な投与量、長期使用のさらなる詳細については、まだ研究の余地がある。

Appendix(用語解説)

  • 活性酸素(ROS): 呼吸などによって体内に取り込まれた酸素の一部が変化した物質。過剰になると細胞を傷つけるが、一部は細胞内の重要な信号(シグナル)として機能する。
  • ヒドロキシルラジカル(·OH): 活性酸素の中でも特に毒性が高く、タンパク質やDNAを無差別に攻撃して破壊する物質。
  • ペロキシナイトライト(ONOO-): 窒素から生じる有害な酸化物質で、これもまた細胞に深刻なダメージを与える。
  • Nrf2経路: 細胞を酸化ストレスから守るための「マスター・コントロール」となる指令系統。活性化すると、体内の自前の掃除屋(抗酸化酵素)が増える。
  • I/R損傷(虚血再灌流障害): 血流が止まった組織に再び血が流れる際、大量の活性酸素が発生して組織がさらに傷ついてしまう現象。

論文情報

タイトル

New possibilities of the prevention and treatment of cardiovascular pathologies. the potential of molecular hydrogen in the reduction of oxidative stress and its consequences(心血管疾患の予防と治療における新たな可能性:酸化ストレス軽減における水素分子の潜在能力)

引用元

Slezák, J., Ravingerová, T., & Kura, B. (2024). New possibilities of the prevention and treatment of cardiovascular pathologies. the potential of molecular hydrogen in the reduction of oxidative stress and its consequences. Physiological research, 73(S3), S671–S684. https://doi.org/10.33549/physiolres.935491

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公開日:2026/01/07
最終更新日:2026/02/11
目次
  1. 3分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 専門家のコメント

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公開日:2026/01/07
最終更新日:2026/02/11
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