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研究報告

水素分子は生活習慣病などの慢性疾患の予防や治療に有効

Effects of Molecular Hydrogen in the Pathophysiology and Management of Cardiovascular and Metabolic Diseases(代謝性疾患および非感染性疾患(NCDs)の病態と管理における水素分子の影響)
過去の論文を分析した結果、水素分子は酸化・炎症を抑え、生活習慣病などの多様な慢性疾患の予防・治療に有効と示唆された。
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

水素分子は酸化ストレスと炎症を抑制することで、生活習慣病をはじめとする多様な慢性疾患の予防と治療に有効である。

研究の背景と目的

欧米型の食生活や不摂生なライフスタイルは、体内で過剰な活性酸素を生み出し、腸内での水素産生を減少させる。この状態が続くことで全身に慢性的な炎症が起こり、肥満、糖尿病、心疾患、がん、認知症などの「非感染性疾患(NCDs)」が引き起こされる。本研究は、これら現代病の治療・管理において、副作用の少ない新たな手段として注目される「水素分子」がどのような役割を果たすかを明らかにすることを目的としている。

研究方法

過去に発表された約2,000報の論文や170の疾患モデルに基づき、水素の臨床効果とメカニズムを分析した。

  • 対象者: 代謝症候群、2型糖尿病、高血圧、脳梗塞、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの患者。
  • 介入方法:
    • 水素水: 1.5~2L/日(水素濃度0.55~0.65mM)を8週間、または900mL/日を8週間~半年間飲用。
    • 水素吸入: 3%濃度のガスを1日2回、各1時間吸入、または低濃度の水素・酸素混合ガスを吸入。
  • 対照群: プラセボ(偽薬)水や、通常の空気・酸素のみを吸入する群を設定。
  • 評価方法: 血液検査(脂質、血糖値、炎症マーカー)、血圧測定、MRI画像、呼吸機能スコアなど。

研究結果

  • 代謝症候群: 水素水飲用により、中性脂肪が約25%(189.8から142.4mg/dlへ)、HbA1Cが12%有意に低下し、善玉コレステロール(HDL)は8%増加したことが示された。
  • 2型糖尿病: 1,088名を対象とした大規模調査で、水素吸入を半年間併用した群はHbA1Cが0.94%改善し、対照群(0.46%改善)よりも高い効果を示した 。また、低血糖や嘔吐などの副作用も有意に少なかった。
  • 血圧・血管: 高血圧患者への水素・酸素吸入により、収縮期血圧が約151.9mmHgから147.1mmHgへと有意に低下した 。また、血管の広がりやすさ(血管内皮機能)も改善した。
  • 脳梗塞: 急性期の患者において、3%濃度の水素吸入は神経機能スコア(NIHSS)を有意に改善させ、MRI画像上でも梗塞部位の回復が確認された。
  • 呼吸器疾患(COPD): 急性増悪期の患者において、水素・酸素吸入は酸素のみの吸入と比較して、息切れや咳の重症度スコアを劇的に改善させた。
  • 作用機序: 水素は細胞膜を容易に通り抜け、核やミトコンドリアに到達して、毒性の強いヒドロキシルラジカル等を選択的に除去する。さらに、抗炎症・抗死滅(アンチアポトーシス)に関わる遺伝子の働きを調節することも示唆されている。

Appendix(用語解説)

  • 非感染性疾患(NCDs): 食習慣、運動不足、喫煙などのライフスタイルが原因で発症する、人から人へうつらない慢性疾患の総称。心血管疾患、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患などが含まれる。
  • 酸化ストレス: 体内で活性酸素が増えすぎて、細胞や組織にダメージを与えている状態。
  • HbA1C(ヘモグロビンA1c): 過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均を反映する指標。糖尿病の進行度や治療効果を判断するのに使われる。
  • ヒドロキシルラジカル: 活性酸素の中でも特に毒性が強く、体内のタンパク質やDNAを直接破壊する物質。
  • ミトコンドリア: 細胞の中でエネルギーを作り出す「発電所」のような器官。ここでの異常が酸化ストレスの主な原因となる。

論文情報

タイトル

Effects of Molecular Hydrogen in the Pathophysiology and Management of Cardiovascular and Metabolic Diseases(代謝性疾患および非感染性疾患(NCDs)の病態と管理における水素分子の影響)

引用元

Singh, R. B., Sumbalova, Z., Fatima, G., Mojto, V., Fedacko, J., Tarnava, A., Pokotylo, O., Gvozdjakova, A., Ferenczyova, K., Vlkovicova, J., Kura, B., Kalocayova, B., Zenuch, P., & Slezak, J. (2024). Effects of Molecular Hydrogen in the Pathophysiology and Management of Cardiovascular and Metabolic Diseases. Reviews in cardiovascular medicine, 25(1), 33. https://doi.org/10.31083/j.rcm2501033

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    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
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公開日:2026/01/13
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