一言まとめ
COVID-19から回復した医療従事者60名を対象に、1日90分間×10日間の水素吸入治療を行ったところ、血管内皮機能の改善、運動耐容能の向上、炎症の軽減が認められ、慢性疲労症候群の症状が改善した。
3分で読める詳細解説
結論
水素吸入治療は副作用なく、COVID-19後遺症の慢性疲労を安全かつ効果的に改善する。
研究の背景と目的
COVID-19のパンデミックにより、医療従事者は高い感染リスクにさらされ、回復後も慢性疲労症候群(CFS)などの後遺症に悩まされている。従来のリハビリテーション治療では限界があるため、抗酸化・抗炎症・抗アポトーシス作用を持つ水素分子の吸入治療に注目が集まっている。本研究は、COVID-19から回復した医療従事者に対する水素吸入治療の安全性と有効性を検証することを目的とした。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- 慢性疲労症候群(CFS): 原因不明の強い疲労が6か月以上続く疾患で、休息しても改善しない
- 血管内皮機能: 血管の最内層である内皮細胞の機能で、血流調節や血栓形成に関わる
- 硬化指数(SI): 血管の硬さを示す指標で、値が高いほど血管が硬くなっている
- 反射指数(RI): 動脈の弾性を示す指標で、値が高いほど血管の弾性が良好
- 肺内シャント: 肺で酸素化されない血液が心臓に戻る現象で、酸素化効率の低下を示す
- 毛細血管鏡検査: 指先の毛細血管を顕微鏡で観察し、血流状態を評価する検査
論文情報
タイトル
Hydrogen inhalation in rehabilitation program of the medical staff recovered from COVID-19(COVID-19から回復した医療従事者のリハビリテーションプログラムにおける水素吸入治療)
引用元
Shogenova, L. V., Truong, T. T., Kryukova, N. O., Yusuphodzhaeva, K. A., Pozdnyakova, D. D., Kim, T. G., Chernyak, A. V., Kalmanova, E. N., Medvedev, O. S., Kuropatkina, T. A., Varfolomeev, S. D., Ryabokon, A. M., Svitich, O. A., Kostinov, M. P., Ibaraki, K., Maehara, H., & Chuchalin, A. G. (2021). Hydrogen inhalation in rehabilitation program of the medical staff recovered from COVID-19. Cardiovascular Therapy and Prevention, 20(6), 2986. https://doi.org/10.15829/1728-8800-2021-2986
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