一言まとめ
水素ガス吸入治療の効果を、心筋梗塞、心停止後症候群、出血性ショック、臓器移植などの分野で動物実験から臨床試験まで幅広く検証し、低濃度でも安全かつ有効な治療法であることを確認した総合的レビュー。
3分で読める詳細解説
結論
水素ガス吸入は、様々な救急医療場面で安全かつ効果的な治療選択肢となる可能性がある。
研究の背景と目的
2007年の大澤らの研究により、水素分子が極めて低濃度(爆発の危険性がない濃度)で虚血再灌流障害に効果があることが示され、水素医学研究が急速に発展した。水素分子は選択的にヒドロキシルラジカルを除去し、有益な活性酸素種は温存するという特徴を持つ。本レビューでは、心筋梗塞、心停止後症候群、出血性ショック、臓器移植といった救急医療における水素ガス治療の前臨床研究から臨床応用までの現状を包括的に検討することを目的とした。
研究方法
本論文は複数の研究をまとめたレビューであり、主な研究内容は以下の通り:
研究結果
Appendix(用語解説)
- 虚血再灌流障害:血流が一時的に遮断された後、血流が再開する際に生じる組織損傷
- ST上昇型心筋梗塞(STEMI):心電図でST上昇を伴う重篤な心筋梗塞の一種
- 標的体温管理:心停止後の脳保護を目的とした体温コントロール治療
- 血管内皮グリコカリックス:血管内皮細胞表面を覆う糖タンパク質層で、血管の機能維持に重要
- TNF-α:炎症反応を引き起こすサイトカインの一種
- 活性酸素種:体内で生成される反応性の高い酸素化合物で、適量は有益だが過剰になると組織損傷を引き起こす
論文情報
タイトル
Hydrogen Gas Therapy: From Preclinical Studies to Clinical Trials(水素ガス治療:前臨床研究から臨床試験まで)
引用元
Sano, M., & Tamura, T. (2021). Hydrogen Gas Therapy: From Preclinical Studies to Clinical Trials. Current pharmaceutical design, 27(5), 650–658. https://doi.org/10.2174/1381612826666201221150857
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