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研究報告

全身性エリテマトーデス(SLE)合併肺高血圧症(PAH)における水素療法の症例報告

Molecular Hydrogen Therapy for SLE-PAH: Case Report on Immune Marker Modulation(全身性エリテマトーデス(SLE)合併肺高血圧症(PAH)における水素分子療法の症例報告:免疫マーカー変動への着目)
SLE-PAH(全身性エリテマトーデス関連肺動脈性高血圧症)と診断された51歳女性患者に1日1回の水素カプセル投与を開始し、Tr1細胞の増加とTreg・B細胞サブセットの減少が観察された。臨床症状は安定化し、有害事象は確認されなかった。
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

水素分子療法はSLE-PAH患者の免疫マーカーを調節し、臨床症状を改善する可能性がある。

研究の背景と目的

全身性エリテマトーデス(SLE)に合併する肺高血圧症(PAH)は、右心不全や呼吸困難を引き起こす重篤な合併症。従来は免疫抑制や血管拡張薬を組み合わせて治療するが、症状が改善しない例も少なくない。本研究(症例報告)は、標準治療でコントロールが不十分なSLE-PAH患者に対して水素分子療法を導入し、免疫学的マーカーと臨床経過の変化を検討することを目的とした。

研究方法

  • 対象者:51歳の女性1名(2012年にSLE-PAHと診断)。
  • 介入方法
    • 水素カプセルを1日1回(170 mgの水素を含むサンゴカルシウム由来素材)経口投与
    • 水素分子摂取期間:2024年3月末から継続観察(論文内での報告時点は少なくとも2024年7月まで)
    • 対照群の設定なし(単一症例報告)
  • 評価方法
    • 臨床症状(呼吸困難の程度、酸素飽和度など)
    • 免疫学的マーカー:Tr1細胞、Treg細胞、B細胞サブセット(PD-1+ B細胞、Fas+ B細胞など)をフローサイトメトリーで評価
    • 右心不全の指標(脳性ナトリウム利尿ペプチド[BNP]など)
    • 画像所見(胸部X線、CTスキャン)による肺高血圧の進行度合い

研究結果

  • 主要な結果
    • 右心カテーテル検査で平均肺動脈圧45 mmHg、肺血管抵抗14.91 Wood単位を示す重度PAH状態
    • 水素分子療法導入後、Tr1細胞が増加し、Treg細胞・B細胞サブセット(Naïve B細胞 PD-1+、スイッチメモリーB細胞 PD-1+、Fas+ B細胞など)が減少
    • BNP 9,576 pg/mlと高値であったが、その後に臨床症状の安定化(呼吸困難の軽減、酸素投与量の縮小)が確認された
    • 胸部CT上、肺動脈幹の拡張は残存していたが、日常生活動作が維持できる状態まで改善
    • 研究期間中、有害事象や副作用は報告されず
  • 考察
    • SLE-PAHで右心不全が進行するなか、従来治療に加えて水素分子療法を導入した結果、免疫バランス(Tr1やTreg、B細胞など)が変動し、患者の病態が安定化した
    • 水素分子による抗酸化・抗炎症効果が、免疫マーカーの調整や病態悪化の抑制に寄与した可能性がある
    • ただし本研究は単一症例であり、長期的効果や最適投与量の検討には大規模研究が必要
  • 研究の限界
    • 単一例の症例報告であり、介入期間も比較的短い
    • 他の要因(併用薬や感染コントロールなど)が影響している可能性を否定できない

Appendix(用語解説)

  • SLE(全身性エリテマトーデス):自己免疫異常によって全身の臓器に炎症が生じる病気。皮膚、関節、腎臓、中枢神経など多彩な臓器を侵す。
  • PAH(肺高血圧症):肺動脈圧が上昇することで、呼吸困難や右心不全を引き起こす。SLEなどの自己免疫疾患に合併することがある。
  • Treg細胞(Regulatory T cell):免疫応答を抑制・調節する役割をもつリンパ球の一種。自己免疫疾患やアレルギーの制御に関わる。
  • Tr1細胞(Type 1 regulatory T cell):IL-10などの抗炎症性サイトカインを産生し、過剰な免疫応答を抑制する。Tregとは異なる経路で免疫調節を行う。
  • B細胞サブセット:抗体産生や免疫応答に重要な役割を担うB細胞には、成熟度や機能に応じた下位分類(ナイーブB細胞、メモリーB細胞など)がある。
  • PD-1(Programmed cell death-1):活性化したT細胞やB細胞に発現する受容体。PD-1経路が過剰に働くと免疫応答が抑制され、がんや感染症の制御に影響する。
  • Fas:細胞死(アポトーシス)を誘導する受容体。免疫細胞の数を制御する上で重要な分子。

論文情報

タイトル

Molecular Hydrogen Therapy for SLE-PAH: Case Report on Immune Marker Modulation(全身性エリテマトーデス(SLE)合併肺高血圧症(PAH)における水素分子療法の症例報告:免疫マーカー変動への着目)

引用元

Tu, T. H., Lu, J. W., Wu, C. H., Ho, Y. J., Lui, S. W., Hsieh, T. Y., Wang, K. Y., & Liu, F. C. (2025). Molecular Hydrogen Therapy for SLE-PAH: Case Report on Immune Marker Modulation. In vivo (Athens, Greece), 39(2), 1211–1219. https://doi.org/10.21873/invivo.13926

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公開日:2025/03/11
最終更新日:2025/06/06
目次
  1. 3分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 専門家のコメント

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公開日:2025/03/11
最終更新日:2025/06/06
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