一言まとめ
新型コロナウイルス感染症患者90名(治療群44名・対照群46名)を対象に、水素吸入(66%水素、33%酸素)と通常治療を比較。結果として、病状が早期かつ有意に改善し、呼吸困難や咳、胸部症状の軽減も認められた。
3分で読める詳細解説
結論
水素吸入は新型コロナウイルス感染症の呼吸困難を早期に改善し、病状悪化を抑える可能性がある。
研究の背景と目的
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的に多くの患者を生み、重症患者では呼吸困難などの症状が早期に進行しやすい。従来の酸素投与などでは呼吸困難や胸部症状を迅速に改善できない場合があり、より効果的かつ安全な新たな治療法が求められている。本研究は、水素吸入が呼吸困難および病状を早期に改善するかどうかを臨床的に検証する目的で行われた。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- 呼吸困難:呼吸が苦しい、息がしづらいと感じる症状。COVID-19では肺炎により酸素交換能力が低下し、呼吸困難が生じやすい。
- オープンラベル試験:治療を施す医療者や被験者が、どの治療を受けているか知っている試験方式。プラセボや二重盲検ではないため、主観的影響が混入する可能性がある。
- 相対リスク(RR: Relative Risk):ある介入を受けた群(治療群)と対照群で特定の事象(例えば改善)の起こりやすさを比較する統計指標。RR=2.0であれば、治療群が対照群の2倍改善しやすいことを意味する。
- p値:統計学的な有意差を示す指標。通常p<0.05であれば、「両群の結果に偶然以上の差がある」と判断する目安となる。
論文情報
タイトル
Hydrogen/oxygen mixed gas inhalation improves disease severity and dyspnea in patients with Coronavirus disease 2019 in a recent multicenter, open-label clinical trial(水素/酸素混合ガス吸入は新型コロナウイルス感染症患者の病状および呼吸困難を改善する:最近のマルチセンター・オープンラベル臨床試験)
引用元
Guan, W. J., Wei, C. H., Chen, A. L., Sun, X. C., Guo, G. Y., Zou, X., Shi, J. D., Lai, P. Z., Zheng, Z. G., & Zhong, N. S. (2020). Hydrogen/oxygen mixed gas inhalation improves disease severity and dyspnea in patients with Coronavirus disease 2019 in a recent multicenter, open-label clinical trial. Journal of thoracic disease, 12(6), 3448–3452. https://doi.org/10.21037/jtd-2020-057
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