呼吸器系
【医師監修】間質性肺炎の新たな治療法?水素吸入が予防・改善をもたらす可能性

【医師監修】間質性肺炎の新たな治療法?水素吸入が予防・改善をもたらす可能性

《この記事の執筆者》

間質性肺炎に苦しむ方々にとって、治療法の選択肢が限られていることは大きな悩みです。

この病気は肺の組織が硬化し、呼吸が困難になる恐ろしい疾患で、進行が早く予後が悪いケースも多いのが現状です。

そんな中、注目されるのが水素吸入療法です。最新の研究では、水素分子が間質性肺炎の予防や治療に役立つ可能性が示唆されており、新たな光として期待が高まっています。

本記事では、間質性肺炎の原因や症状をはじめ、この疾患に対する水素吸入療法の可能性について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

間質性肺炎とはどんな病気?

間質性肺炎の図解
出典:https://medicalnote.jp/contents/170828-005-EJ

間質性肺炎とは、肺の間質という部位に炎症が生じる病気です。

肺には呼吸によって空気が入り込む肺胞という小さな袋がたくさんありますが、間質は肺胞を支える組織のことを指します。

まずは、間質性肺炎がどのような病気であるのか詳しく見てみましょう。

間質性肺炎の原因

間質性肺炎の原因は多岐に渡り、大きく分けると以下の4つの原因があります。

間質性肺炎の主な原因
  • 自己免疫性疾患(関節リウマチ、皮膚筋炎など)
  • 粉塵やカビなどの慢性的な吸入
  • 薬物の副作用
  • 感染症

一方、はっきりした原因が不明な間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」と呼びます。特発性間質性肺炎は難病の一つに指定されており、発症率は10万人あたり10人1)程度です。

間質性肺炎の症状

間質性肺炎を発症すると空気が入り込む肺胞を支える間質に炎症が生じるため、肺胞が硬くなっていきます。その結果、以下のような症状が現れるようになります。

間質性肺炎の主な症状
  • 呼吸困難
  • 乾いた咳
  • 息切れ
  • むくみ
  • 倦怠感、疲労感
  • 体重減少

症状の進行度は発症の原因などによって異なりますが、進行すると重度な呼吸困難が生じて日常生活に支障を来すようになります。進行すると肺の組織がどんどん硬くなる「肺線維症」と呼ばれる状態になります。発症から数年で通常の生活が困難になるのが一般的です。

また、間質性肺炎は肺がん、肺高血圧症、肺感染症などを合併しやすいとされています。

間質性肺炎の治療

間質性肺炎の治療方法は発症原因や重症度によって異なりますが、基本的には以下の治療が行われます。

薬物療法

現在のところ、ステロイドと免疫抑制剤の効果があるとされています。特発性間質性肺炎には抗線維化剤が用いられることもありますが、効果があるケースもあれば十分な効果を得られないケースも少なくありません。

その他、症状に合わせて鎮咳薬や去痰薬などを用いた対症療法も行われます。

酸素療法

間質性肺炎は進行すると呼吸機能が低下していくため、息切れや呼吸困難などの症状がある場合には酸素吸入が必要になります。医療機関内だけではなく、自宅や外出先でも酸素を吸入する「在宅酸素療法」を行います。

肺移植

間質性肺炎の中でも特に重症で呼吸困難が著しい場合には、健康な人の肺を移植する手術が行われることもあります。

間質性肺炎は治りにくい病気?

間質性肺炎の予後は発症原因によって異なります。原因がはっきり分かっている場合は適切な治療を行うことで改善できる場合もありますが、原因がはっきり分からない特発性間質性肺炎は注意が必要です。

特発性間質性肺炎は急激に進行するケースも多く、発症してから命を落とすまでの期間は平均で3~5年2)ほどとされています。

水素吸入は間質性肺炎の予防や治療に役立つ?

間質性肺炎はタイプによって治療が難しく、予後が非常に悪い病気です。発症してから数年で命を落とすケースも少なくありません。

そのため、間質性肺炎の新たな予防や治療方法の検討は現在も広く行われています。水素療法もその一つです。

これまで、水素吸入と間質性肺炎の直接的な関係を示した研究結果は公表されていませんが、水素水との関係を示した研究結果は公表されています。

具体的にどのような内容だったのか詳しく見てみましょう。

水素水は間質性肺炎を予防する?

2020年に、中国の研究チームは水素水が間質性肺炎を予防する可能性を示唆する研究結果を発表しました3)

この研究は、間質性肺炎の原因の一つであるパラコートという薬剤を加えて培養した肺の線維芽組織を用いて行われました。その結果、水素水に入れた組織では酸化ストレスを軽減するための「Nef2」という因子を増やし、組織が硬くなるのを抑制したことが明らかになっています。

水素吸入は間質性肺炎の予防に役立つ?

今回の研究から、水素水がパラコートによる間質性肺炎を予防する可能性が示唆されました。水素吸入は水素水の飲用よりも効率に水素分子を取り込むことができるため、水素吸入にも同様の効果が期待できる可能性はあるでしょう。

まだ組織を用いた研究段階であるため、確実な効果があるとは言えません。しかし、この研究から水素分子が間質性肺炎を予防するNrf2の発現を増強することが明らかになりました。

今後、さらなる研究が進み、水素吸入が間質性肺炎の予防に応用されることを期待しましょう。

水素水が間質性肺炎の症状を改善する

2023年に、中国の研究チームは水素水が間質性肺炎を改善する可能性を示唆する研究結果を発表しました4)

この研究では87名の早期間質性肺炎患者を対象に実施。水素水を摂取した群と間質性肺炎の治療に有用とされるN-アセチルシステインを吸入した群に分けてCT画像や肺機能検査結果の変化を比較しました。その結果、水素水を飲用した群は有意にCT検査の所見が改善したことが明らかになっています。

水素吸入は間質性肺炎の治療に役立つ?

今回の研究から、水素分子は間質性肺炎の治療に役立つ可能性が示唆されました。水素吸入は水素水の飲用よりも効率に水素分子を体内に取り込むことができます。そのため、水素吸入にも間質性肺炎を改善する可能性があると考えられます。

この研究は限られた人数を対象にしているため、今後はさらに多くの検証が必要です。しかし、水素水をはじめとした水素療法は確立した治療法がない間質性肺炎の新たな治療法として注目されています。今後の進展に期待しましょう。

【私はこう考える】水素吸入と間質性肺炎

間質性肺炎は進行が早く、治療が難しいケースも少なくありません。予後が悪いタイプの間質性肺炎も多く、現在も水素吸入を始めとして新たな予防や治療法の研究が進められています。

今回ご紹介した2つの研究結果から、水素吸入は間質性肺炎の予防や治療に役立つ可能性が示唆されました。まだ確実な効果があると言える段階ではありませんが、今回の結果は間質性肺炎の予防や治療の新たな光となるでしょう。

今後さらに研究が進み、間質性肺炎の予防や治療に広く応用されることを望みます。

参考文献
  1. 特発性間質性肺炎(指定難病85)|難病情報センター
  2. 特発性間質性肺炎(指定難病85)|難病情報センター
  3. Li, T., Deng, S., Lei, W., Li, Z., Wu, W., Zhang, T., & Dong, Z. (2020). Nan fang yi ke da xue xue bao = Journal of Southern Medical University40(2), 233–239. https://doi.org/10.12122/j.issn.1673-4254.2020.02.15
  4. Tang, C., Wang, L., Chen, Z., Yang, J., Gao, H., Guan, C., Gu, Q., He, S., Yang, F., Chen, S., Ma, L., Zhang, Z., Zhao, Y., Tang, L., Xu, Y., Hu, Y., & Luo, X. (2023). Efficacy and Safety of Hydrogen Therapy in Patients with Early-Stage Interstitial Lung Disease: A Single-Center, Randomized, Parallel-Group Controlled Trial. Therapeutics and clinical risk management19, 1051–1061. https://doi.org/10.2147/TCRM.S438044

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