消化器系
【医師監修】水素吸入療法は便秘や下痢の予防・改善に役立つのか

【医師監修】水素吸入療法は便秘や下痢の予防・改善に役立つのか

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水素吸入療法は、水素ガスと酸素を同時に吸い込んで体内に取り入れる治療法であり、現在数多くの疾患に対して行われています。水素吸入療法により様々な効果があると考えられています。

本記事では水素吸入療法と便秘や下痢との関係性について解説します。

便秘や下痢でお悩みの方、水素吸入療法について興味を持っている方はぜひ参考にしてください。

水素吸入療法とは

水素吸入療法とは、水素を吸入することで様々な疾患の状態を改善させる治療法の1つです。水素とは自然界で最も軽く、最も多く存在する原子であり水などに含まれています。水素吸入療法に関する研究は、動物および人において数多く行われています。特に心肺停止後症候群や急性心筋梗塞、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、新型コロナウイルス感染症などに対しての研究が進んでいます。

現時点では厚生労働省から一部の疾患に対して先進医療として見られており、実際の医療現場でも用いられている効果と安全性が期待できる治療法です。

水素吸入療法により便秘の改善が期待できる

水素吸入療法を行うと便秘症状が和らぐという研究結果は現時点では発表されていません。しかし、水素吸入療法が私たちの体に引き起こすメカニズムを考えると便秘が改善される見込みはあります。ここでは水素吸入療法による体の変化や便秘との関連性について説明します。

交感神経が高まると便秘になる

私たち人間の自律神経は、大きく分けて交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は、一言で言えば臓器や器官などの働きを高める作用があります。具体的には、血圧を上昇させる、心拍数を高める、呼吸が早くなる、などがあげられます。

消化管に対しては、胃や腸などから分泌される消化液の量や、消化管の運動が低下するため、交感神経神経の働きが活発になると食物が消化されにくくなり便秘気味になります。

水素吸入慮法により交感神経が抑制される

水素吸入療法を行うことで自律神経のバランスが整えられるという報告があります。慶応義塾大学が2020年に発表した研究によると、毎日1時間の水素吸入を行えば、活発になった交感神経の働きが抑えられます。

便秘改善が期待

水素吸入療法を行うと便秘の改善が期待できます。水素吸入療法を行うと交感神経の働きが抑えられ、その代わりに副交感神経の働きが目立ち始め、消化管の運動が促進されて便が出やすくなると考えられるからです。ただし、これはあくまで推測される結果でしかなく、便秘と水素吸入療法との関係性について具体的に行われた研究結果ではないことに注意が必要です。

水素吸入療法により下痢の改善が期待できる

水素吸入療法を行うと下痢症状が抑えられるという研究結果は現時点では発表されていません。しかし、便秘症状と同様に、水素吸入療法が私たちの体に引き起こすメカニズムを考えると下痢症状が改善される見込みはあります。

自律神経のバランスが整えられる

下痢の原因として、自律神経のバランスが乱れていることがあげられます。自律神経のバランスが崩れると消化管の運動が不安定になり、食物などの消化を上手く行えずに下痢として現れます。

先に述べた通り、水素吸入療法には活性化した交感神経の働きを抑えて自律神経のバランスを保とうという作用があります。自律神経のバランスが正常化することで下痢が抑えられる可能性があります。

腸内細菌叢を整える可能性がある

現在日本国内で、水素吸入療法により腸細菌叢を整え、潰瘍性大腸炎という患者の下痢症状などが改善しないかどうかという研究が行われています。潰瘍性大腸炎とは血便や下痢などが続く難治性疾患の1つです。潰瘍性大腸炎の患者向けではありますが、研究結果で下痢症状が抑えられたということが判明すれば、通常の方でも下痢の改善が期待できます。

水素吸入療法の安全性は?

水素吸入療法で使う水素分子自体には副作用がないと論文で報告されています。また、通常の水素吸入療法で用いられる水素ガス濃度は約2%です。水素は爆発しやすいガスとしても有名ですが、水素濃度が4%以上になると爆発のリスクが高まるため、一般的な水素ガス濃度では爆発の心配は不要です。

また、もし水素を大量に吸入したとしても、毛髪や皮膚から体外に排出されるか、水分に変えられるため大きな副作用は起こらないと考えられています。考えられる副作用としては、吐き気、気分不良、頻尿などがありますが、その一方で、国内の研究では明らかな副作用は増えなかったとの報告もあります。

まとめ

水素吸入療法は、水素を吸入することで様々な疾患に効果があると期待される治療法です。一部の疾患に対しては先進医療を含め実際の臨床現場で効果が期待されています。便秘や下痢に対しては明らかなエビデンスはないものの、理論上は改善の効果が見込めます。今後数々の研究結果により、便秘や下痢に対して水素吸入療法の治療効果や安全性について判明してくることが期待されます。

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