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酸素吸入と水素吸入の違いは?効果や安全性など7項目を徹底比較!

酸素吸入と水素吸入の違いは?効果や安全性など7項目を徹底比較!

「最近よく聞く水素吸入って、酸素吸入とどう違う?」
「健康や美容に良いって本当?」

このように、酸素吸入と水素吸入の違いについて、疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。どちらも「吸入」という方法で健康にアプローチする点は共通していますが、その仕組みや期待できる効果は大きく異なります。

この記事では、酸素吸入と水素吸入の基本からそれぞれの違い7つについて詳しく解説します。目的別にどちらが適しているのかも紹介するので、ぜひ最後までご覧いただき、ご自身の健康や美容の悩みを解決するヒントとしてご参考ください。

《この記事の執筆者》

酸素吸入と水素吸入の基本情報

まずは、酸素吸入と水素吸入それぞれの基本的な仕組みと目的について解説します。

酸素吸入とは?その仕組みと目的

酸素吸入とは?その仕組みと目的

酸素吸入は、高濃度の酸素を吸入することで、体内の酸素濃度を高める方法です。通常、空気中の酸素濃度は約21%ですが、酸素吸入ではこれを高め、医療現場では90%以上の高濃度酸素が使用されることもあります。

目的は、主に低酸素状態の改善です。肺炎やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患、心不全、一酸化炭素中毒など、体内の酸素が不足している状態を改善するために用いられます。

また、医療現場だけでなく、スポーツ後の疲労回復やリフレッシュ目的で、酸素バーや酸素カプセルなども利用されています。

水素吸入とは?その仕組みと目的

水素吸入は、水素分子(H₂)を含む気体を吸入することで、体内の活性酸素を抑制する方法です。水素は、体内で発生する活性酸素の中でも、特に悪玉活性酸素と呼ばれるヒドロキシルラジカルと選択的に反応し、無害な水に変える働きがあることが知られています。1)

主な目的は、活性酸素による酸化ストレスの軽減です。酸化ストレスは、老化や様々な病気の原因の一つと考えられており、水素吸入は、この酸化ストレスを軽減することで、健康維持・増進、美容、アンチエイジング、疲労回復など、幅広い効果が期待されています。

酸素吸入と水素吸入の違いとは?7項目を徹底比較!

酸素吸入と水素吸入の基本がわかったところで、それぞれの違いについてみていきましょう。

主な違いを表にまとめてみました。

酸素吸入と水素吸入の違いとは?7項目を徹底比較!

では、それぞれの違いについて以下で詳しく解説していきます。

違い①:
吸入する成分の違い

酸素吸入では、酸素(O₂)を主に吸入し、水素吸入では水素(H₂)を吸入します。

ただし、水素吸入は、水素のみを吸入する場合と水素と酸素の混合ガスを吸入する場合があります。

違い②:
期待されている効果の違い

酸素吸入は、主に呼吸器系の疾患や心臓疾患など、体内の酸素不足が原因で起こる症状の改善に用いられます。

また、高気圧下で行う酸素カプセルでは、運動後の疲労回復の促進などが期待されています。

一方、水素吸入は活性酸素による細胞の酸化ストレスを軽減することで、老化防止、病気予防、疲労回復、美容効果など、幅広い効果が期待されています。

>> 【疾患・目的別】水素吸入に期待される効果一覧

違い③:
働くメカニズムの違い

酸素吸入は肺から血液中に酸素を取り込み、全身の細胞に酸素を供給し、酸素不足を改善します。これにより、細胞のエネルギー生成が促進され、疲労回復や創傷治癒、筋肉のリカバリーが期待できます。また、酸素はミトコンドリアでのエネルギー(ATP)産生に不可欠なため、十分な酸素供給は全身の代謝や機能維持に寄与します。

一方、水素吸入で取り込む水素分子は非常に小さいため、細胞膜や血液脳関門を容易に通過し、細胞内に入り込みます。水素は特に有害なヒドロキシルラジカルといった活性酸素を選択的に除去することで、酸化ストレスを軽減します。また、炎症性サイトカインの産生を抑え、慢性的な炎症を和らげる作用も報告されており、これらを通じて様々な健康効果をもたらすと期待が寄せられています。

>> 【専門家監修】なぜすごい?水素の健康メカニズムを徹底解説

違い④:
法律や取り扱いの違い

酸素吸入は、医療行為として、医師の指示のもとで行われることが一般的です。医療現場で使用される酸素は、医薬品・医療機器として薬機法(医薬品医療機器等法)の対象となり、厳密な製造・保管・供給基準が設けられています。一方で、整骨院などで健康増進・リラクゼーション目的で行われる場合は、厳格な規制は適用されず、健康機器または美容機器としての扱いとなります。

水素吸入は、現時点では、明確に医療効果が認められて保険適用されているわけではなく、健康増進・ウェルネス目的のサービスとして提供されることが一般的です。一部医療現場で研究的に導入される例がありますが、医療用の厳密な規制対象には含まれず、法的には「健康機器」や「美容機器」として取り扱われるケースが多いです。

違い⑤:
歴史や研究報告数の違い

酸素吸入は、18世紀に酸素が発見されて以来、医療現場で長い歴史の中で活用され、低酸素状態の改善や呼吸補助に関する豊富な実績と研究報告が蓄積されています。一方、疲労回復などの効果については、まだ十分に立証されているとは言い切れません。

これに対して水素吸入は、2007年に水素の医学的効果が初めて報告されて以降、急速に研究が進展している比較的新しい分野です。現状、研究報告数は酸素吸入に比べて少ないものの、近年その数は急増しており、今後のさらなる発展が期待されています。さらに、2016年には日本の厚生労働省により先進医療Bに認定された実績もあり、補助療法としての可能性が注目されています。

>> 厚生労働省が認めた『水素ガス吸入療法』|先進医療Bの認定と取り下げ理由

違い⑥:
安全性の違い

酸素吸入は、適切な濃度と流量で使用する限り、安全性が高いです。ただし、高濃度の酸素を長時間吸入すると、酸素中毒を起こすリスクがあります。

水素吸入は、これまでの研究報告において、毒性や副作用はほとんど報告されておらず安全に使用できるとされています。ただし、水素は可燃性ガスであるため、取り扱いには注意が必要です。

>> 【医師監修】水素吸入療法にリスクや副作用はある?各国の規制は?

違い⑦:
費用の違い

医療用酸素吸入は保険適用のため低コストで実施可能で、酸素バーなど民間サービスでも1回あたり数百~数千円と手軽です。酸素カプセルは1時間あたり約3000~5000円程度が相場で、家庭用を導入する場合は初期投資が100~200万円以上に上る場合もあります。

水素吸入は、基本的に自由診療・自費サービスとなるため、クリニックやサロンによって料金が異なります。一般的には、30分で1500~3000円、60分で3000~6000円程度が相場です​。自宅で水素吸入を行うための家庭用水素吸入器は数万円程度で入手可能ですが、本格的なものは数十〜数百万円する機器もあります。

酸素吸入と水素吸入はどちらがおすすめ?

【目的別】酸素吸入と水素吸入はどちらがおすすめ?

酸素吸入と水素吸入、どちらを選ぶべきかは目的と状況によって異なります

基本的には水素吸入がおすすめですが、特定の場合には酸素吸入が良いケースも存在します。

ここでは、上記の表の目的別に酸素吸入と水素吸入のどちらが適しているかについて詳しく解説します。

①疲労回復には?

疲労回復を目的とする場合は、運動直後か慢性的な疲労かで使い分けるのが良いです。

激しい運動後の疲労回復には、酸素吸入が効果的とされます。激しい運動直後は、血液中の乳酸濃度が上昇し、心拍数も増加します。酸素吸入を行うことで、これらの数値が早期に回復し、疲労感が軽減されるとされています。実際、運動直後に酸素吸入を実施すると、乳酸の除去や心拍数の回復が促進されるという研究結果があります。2)

一方、慢性的な疲労感やストレスには、水素吸入がおすすめです。日常的な疲労やストレスは、体内の酸化ストレスが蓄積することで引き起こされると考えられます。水素吸入は、その強力な抗酸化作用により有害な活性酸素を除去し、炎症を抑えることで、慢性的な疲労感の改善に寄与する可能性が期待されています。3)

②エイジングケア・美容には?

美容面では、続けやすさの観点から水素吸入がおすすめです。

水素吸入は、ストレスやネガティブ感情の軽減とともに、皮膚のハリ・たるみの改善、シミの減少、赤みの軽減が報告されており、美肌効果が期待できます​。4)

また、高気圧酸素療法(酸素カプセル)も、細胞の老化指標であるテロメアの長さが有意に延長し、老化細胞の割合が減少するといった結果が報告されており、アンチエイジング効果が期待できます​。5)

どちらも美容効果に関する研究報告があり一定の期待はされていますが、自宅でも手軽にできる続けやすさの観点で水素吸入が取り入れやすいでしょう。

③生活習慣病予防には?

酸素吸入と水素吸入のいずれも、直接的な病気予防効果が十分に確立されているわけではありません。しかし、健康な状態を維持し、生活習慣病のリスクを軽減するために予防的に利用する場合、近年の研究動向からは水素吸入の方が期待できると考えられます。

水素吸入は、酸化ストレスや炎症といった、生活習慣病の原因とされる要因を抑制する可能性が報告されており、健康維持の補助手段として注目されています。一方、酸素吸入は低酸素状態の改善や呼吸補助に関するエビデンスは豊富なものの、病気の予防効果については限定的です。

ただし、高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防には、食生活や運動習慣などの総合的な生活改善が基本です。酸素吸入や水素吸入はあくまで補助的な手段として位置づけ、日常の健康管理の一環として取り入れることが望ましいでしょう。

④病気の治療サポートなら?

病気の治療補助としては、対象となる疾患や症状に応じたアプローチが大切です。

例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、低酸素状態が問題となる患者さんには、血中酸素濃度を改善するために酸素吸入療法が不可欠です。これにより、呼吸機能の維持や症状の緩和が期待できます。

一方、低酸素状態が直接の原因ではないがんやその他の疾患の場合、酸化ストレスや炎症が治療の副作用や病状の悪化に寄与していると考えられます。この場合は、水素吸入がおすすめです。

2023年に発表されたレビュー論文(様々な研究をまとめた論文)では、水素ガスが心血管疾患、呼吸器疾患、中枢神経疾患、感染症、がんなど、多岐にわたる疾患における補助療法として有望な効果を発揮することが報告されています。6)

このように、低酸素状態の改善が必要な場合は酸素吸入療法、その他の病気の治療補助としては水素吸入療法を、患者さんの状態に合わせて使い分けるのが理想的です。

⑤費用や手軽さで選ぶなら?

費用や手軽さの面で選ぶなら、総合的には水素吸入がおすすめです。

整骨院などで行われる酸素吸入(酸素カプセル)は、1時間あたり3,000~5,000円程度かかります。短期間なら問題ありませんが、長期的に利用するとコストがかさんでしまいます。

一方、家庭用の水素吸入器を導入すれば、自宅でいつでも気軽に水素吸入が可能です。初期投資は必要ですが、長期間にわたって利用する場合、コストパフォーマンスに優れていると考えられます。

まとめ:酸素吸入と水素吸入の違いを理解して、自分に合った健康法を見つけよう!

酸素吸入は長い歴史や多くの研究報告があり、実際に医療現場で長く使用されている方法です。健康増進目的でサロンや整骨院で行われるケースもあります。

一方、水素吸入は抗酸化作用や美容・エイジングケア効果が期待される新しいガス療法として大きく注目されています。

どちらも適正に利用すれば安全ですが、期待される効果や法律、費用やリスクなどは異なります。

ご自身の目的に合わせて最適な方法を選び、健康管理や美容ケアに役立ててみてください。

参考文献
  1. Ohsawa, I., Ishikawa, M., Takahashi, K., Watanabe, M., Nishimaki, K., Yamagata, K., Katsura, K., Katayama, Y., Asoh, S., & Ohta, S. (2007). Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals. Nature medicine13(6), 688–694. https://doi.org/10.1038/nm1577
  2. Peng, Y., Meng, L., Zhu, H., Wan, L., & Chen, F. (2022). Effect of Normobaric Oxygen Inhalation Intervention on Microcirculatory Blood Flow and Fatigue Elimination of College Students After Exercise. Frontiers in genetics13, 901862. https://doi.org/10.3389/fgene.2022.901862
  3. Dong, G., Liu, H., Chen, Y., Bao, D., Xu, W., & Zhou, J. (2024). Hydrogen-Rich Gas Enhanced Sprint-Interval Performance: Metabolomic Insights into Underlying Mechanisms. Nutrients16(14), 2341. https://doi.org/10.3390/nu16142341
  4. Appearance of Psychophysiological Effect of Hydrogen Inhalation and Effect of Continuous Use on the Skin Properties(日本香粧品学会誌)
  5. Hachmo, Y., Hadanny, A., Mendelovic, S., Hillman, P., Shapira, E., Landau, G., Gattegno, H., Zrachya, A., Daniel-Kotovsky, M., Catalogna, M., Fishlev, G., Lang, E., Polak, N., Doenyas, K., Friedman, M., Zemel, Y., Bechor, Y., & Efrati, S. (2021). The effect of hyperbaric oxygen therapy on the pathophysiology of skin aging: a prospective clinical trial. Aging13(22), 24500–24510. https://doi.org/10.18632/aging.203701
  6. Johnsen, H. M., Hiorth, M., & Klaveness, J. (2023). Molecular Hydrogen Therapy-A Review on Clinical Studies and Outcomes. Molecules (Basel, Switzerland)28(23), 7785. https://doi.org/10.3390/molecules28237785

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